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「実需型高性能床遮音工法研究」の概要とアンケート結果の速報

地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 建築研究本部 北方建築総合研究所
居住科学部居住科学グループ主査(住生活) 廣田 誠一

 

1はじめに

日本ツーバイフォー建築協会はCOFI(カナダ林産業審議会)と協力して「実需型高性能床遮音工法研究委員会」および「同作業部会」*を立ち上げ、床・天井遮音工法についての研究「実需型高性能床遮音工法研究」を2年間にわたり実施しました。

この研究の目的は、枠組壁工法の実用的な床遮音工法を提案することです。床遮音工法に関する研究は、これまで多数行われていますが、高遮音の仕様はいずれもその構成が重厚で施工手間のかかる工法であるため、普及が進んでいないのが実状です。これを打開するために主観評価を取り入れ、実際にうるさく感じるかどうかで各遮音工法を評価することにより、現実的な構成の工法が開発できると考えました。


2研究の概要

(1)実態把握

はじめに、協会会員のビルダーに対して遮音に関するアンケート調査を行いました。遮音工法の実態が把握できたとともに、2階からの床衝撃音に対して満足度が比較的低いことなどが示されました。

次に、実住宅の遮音性能の実態を把握するための測定を行いました。対象は、協会加盟会社の戸建および共同住宅14棟32室で、3棟6室の木造在来構法を含みます。この結果、軽量床衝撃音については、フローリングの場合はおよそL-70〜80等級、カーペットの場合はL-35〜45等級であり、軽量床衝撃音対策として上階のカーペット仕上げの有効性が改めて示されました。タイヤ衝撃源による重量床衝撃音についてはほぼすべてがL-70〜80等級の範囲にあり、最も多いのはL-70等級でした。木造在来構法の戸建住宅の測定結果の多くがL-80等級であり、木造在来構法よりも枠組壁工法の方が性能のよい結果となりました。この他、本研究では吹き抜けなどの空間構成と各室間の音圧レベル差についてもまとめています。


(2)主観評価


▲主観評価の様子

現在、床衝撃レベルの評価方法はJIS A 1418-2「建築物及び建築部材の遮音性能の評価方法?第2部;床衝撃音遮断性能」で示されるL等級によって行われています。

一般的にRC床も木造床も、低い周波数帯域ほど床衝撃音レベルが大きい周波数特性をもっており、この等級を当てはめると63Hz帯域で性能はほとんど決まります。木造床はRC床よりもさらにこの傾向が強く、63Hz帯域の性能向上が工法的課題となっていました。そこで主観評価を加えることにより、これを打開しようと考えました。

主観評価は、(1)提示音を作成→(2)被験者に音を提示→(3)被験者がうるささを判断→(4)結果分析という流れで行われます。提示音は現場で床衝撃音を収録し作成します。

この結果、床衝撃音に対する主観評価は床衝撃音レベルと周波数特性の双方より影響を受けること、そしてラウドネスにより双方の影響を評価できることなどが明らかになりました。

ボール1m落下時の床衝撃音を用いた場合、このラウドネスとA特性床衝撃音レベルの相関が高いことからA特性床衝撃音レベルで評価することが有効であるといえます。

 

(3)遮音工法の検討・試験室における測定

既往の研究を精査し、未検討な工法を中心に6工法を考え、23仕様の測定を行いました。測定に際し衝撃源の検討を行いました。床衝撃音の測定ではJISで定められた標準的な衝撃源を使用します。しかし実際の住宅内で発生する騒音はこれより小さな衝撃力が多いことから、大人が歩き回る程度の衝撃力であるゴムボール10cm落下をJISの標準衝撃源に加えて測定を実施することとしました。

測定の結果、床工法については、RC造マンションで普及が進んでいる乾式二重床は、重量床衝撃音に対して10dB程度の効果が得られ、また軽量床衝撃音に対しても有効であることが明らかとなりました。床高さがアップするデメリットはありますが、特に共同住宅では住戸内で配管が使えるというメリットもあります。

天井工法については、カナダで一般的なResilient channelの検討を行い、直張天井工法に対しせっこうボード12.5oを二層施工することで効果が得られることがわかりました。


▲乾式二重床

▲Resilient channel

(4)工法の評価

主観評価により、うるささとA特性床衝撃音レベルの相関の高いことが示されたことを受け、試験室で実施した各遮音工法の評価を行いました。

この結果、乾式二重床などの緩衝工法は衝撃力が小さい場合に有効であること、A特性床衝撃音での評価では、乾式二重床やResilient channelが有効であることがわかりました。

 

本年度はこれらの成果をまとめ、遮音設計に役立つハンドブックを作成し普及する予定です。

 


(社)日本ツーバイフォー建築協会会報誌「ツーバイフォー」のVol.187 2010年10月号からの転載記事です。

(2010年10月1日掲載)



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