ヘッダーバー

ホーム事業者向け情報協会活動報告調査研究・技術開発4階建て実験棟を活用した各種の実験検証>振動実験結果

調査研究・技術開発
ツーバイフォー耐火構造4階建モデル棟における振動実験報告



はじめに

平成11年度から平成15年度の5カ年にわたり、独立行政法人建築研究所(以下、建研)において「木質複合建築構造技術の開発」に関する研究が実施され、これに併せて日本ツーバイフォー建築協会と建研との共同研究も実施されました。この成果によって、枠組壁工法による木造耐火構造の建築が可能になりました。

建研と同協会は、枠組壁工法による木質複合建築構造技術の発展・普及を図るため、平成17年度から新たに「枠組壁工法による木質複合建築構造技術に関する共同研究」を開始し、平成17年度に実大の枠組壁工法4階建建物(モデル棟)を建設して、これを用いた種々の研究を実施しました。

このうち、振動実験については、建物の建設段階(建設前、途中、後など)に応じて合計6回にわたり、微動測定、交通振動測定、起振機実験の3種類を行いました。ここでは、そのなかから、交通振動に関連する地盤および建物の振動性状、耐震設計と関連する建物の固有周期(振動数)と、減衰性能の結果について報告します。


モデル棟


写真1:モデル棟
▲写真1:モデル棟

実験の対象となるモデル棟(写真1)は、各階に1つの階段室と2つの居室を有する枠組壁工法耐火構造4階建の実験用建物で、茨城県つくば市にある建研の多目的実験場内に建設されました。その概要は表(1)のとおりです。


表(1):モデル棟概要

基  礎

杭(鋼管杭165.2φ、11.5m)10本、鉄筋コンクリート造ベタ基礎(厚150)

構  造

枠組壁工法(1〜2階:2×6、3〜4階:2×4)

階  数

4階建て(地階無し)

建築面積

36.95m2

延べ床面積

184.78m2

軒高さ

12.639m

最高高さ

14.8m

耐火仕様

外壁(窯業系サイディング t=16、ALCt=37等)、

内壁(強化石こうボード t=15+21)、天井・床(強化石こうボード t=15+21)



実験方法


写真2:アンカータイダウン金物
▲写真2:アンカータイダウン金物

1) 実験フェーズ(段階)

振動実験は、表2に示す建設の各段階で実施されました。

表(2):実験フェーズ

Phase-1

基礎工事(ベタ基礎)終了時

Phase-2

構造躯体(合板張り)工事終了時

Phase-3

アンカータイダウン有効時(写真2)

Phase-4

石こうボード工事終了時

Phase-5

竣工時(外装工事終了)

写真3:起振機
▲写真3:起振機

2) 測定と加振の組み合わせ

モデル棟の振動測定は、(1)交通振動がない静かな状態(微動測定)、(2)交通振動がある状態(交通振動測定)、(3)起振機(写真3)を小屋裏(5階)に設置して建物の長辺(NS)および短辺(EW)方向に強制的(1〜12Hz)に振動させる(起振機実験)、の3種類としました。

写真4:振動レベル計(地盤上)
▲写真4:振動レベル計(地盤上)

 

写真5:振動レベル測定(建物内)
▲写真5:振動レベル測定(建物内)

3) 測定方法

(1)微動測定、(2)交通振動測定、(3)起振機実験では、サーボ型加速度計を微動計として使用し、測定を行いました。(2)交通振動測定では、振動レベル計(写真4と5 JIC C1510-1976)を用いた交通振動測定を500秒間実施しました。




実験結果


写真6:交通振動測定点
▲写真6:交通振動測定点
  敷地[1と2]と基礎上[5と9]

 

写真7:交通振動測定点
▲写真7:交通振動測定点
  敷地隅[6]と歩道上[8]

1) 微動および交通による振動

地盤と基礎の振動
交通振動の測定位置を、写真6(敷地内[2]と基礎上[5と9])と、写真7(歩道[8]と敷地隅[6])に示しました。図(1)(2)は、測定した波形のRMS値です。図(1)(上下動)の結果から、歩道上[8]と他の振巾レベルを比較すると、敷地内[2と6]の振動レベルは2/3程度で、基礎上[5と9]は1/5〜1/6程度でした。図(2)の結果から、地盤上[1]における上下動と水平動を比較すると、水平動は上下動よりも1.4〜1.7倍程度大きいことがわかりました。なお、敷地内の地盤上の交通振動レベル(上下動)は、45〜53dBでした。


図(1)(2)

建物の振動
微動測定(NS方向)から得られた固有振動モード(1次と2次)を図(3)に、測定した微動(NS方向)の伝達関数(5F/1F)を図(4)に示しました。図(4)の各ピークは、各固有振動数に対応します。なお、建物竣工時(Phase-5)の4階における交通振動レベル(水平動)は、47〜52dBでした。


図(3)(4)

2) 建物の固有振動数と減衰性能

表(3)は、起振機実験の結果から求めた、各実験フェーズにおけるNS・EW方向の固有周期・固有振動数・減衰定数を示すものです。固有振動数は、おおむねNS方向が3.5]、EW方向が3.3]〜3.7]でした。これらの固有振動数(周期)に関しては、構造計算に用いるAi、Rt用の簡易計算式を使った計算結果とも比較的よく一致しました。減衰定数は、NS方向が2〜4%、EW方向が2〜5%の範囲にありました。


表(3):固有周期・固有振動数・減衰定数(起振機実験)
Phase No.
施工段階
NS
EW
1次
2次
1次
2次
TDUリリース
周期(sec)
振動数(Hz)
減衰定数(%)
周期(sec)
振動数(Hz)
周期(sec)
振動数(Hz)
減衰定数(%)
周期(sec)
振動数(Hz)
2

合板

0.286
3.5
3.26
0.105
9.5
0.286
3.5
(7.33)
0.118
8.5
3
3.5-3.6
3.51
0.100
10.0
0.294
3.4
3.56
0.114
8.8
4
石こうボード
 
3.3-3.6
3.09
**
**
0.270
3.7
4.65
**
**
5
外装仕上げ
 
0.286
3.5
2.14
**
**
0.303
3.3
2.19
**
**


3) 建物の重量・固有振動数・水平剛性

建物の質量m(上部構造)は、建設段階のPhase-2(3)、4、5に応じて、各々24.6、53.5、71.2tonfに変化しました。固有振動数は建物の水平剛性と質量の両者の影響を受けますが、石こうボードを取り付けたPhase-4と外装仕上げ後のPhase-5において固有振動数の変化が少なかったことは、各部材の取り付けによる水平剛性の上昇と重量増加の影響がほぼ等しいことを示しています。


表(4):固有振動数の変化と水平剛性の変化
Phase No.
計算
重量変化
固有振動数変化
水平剛性変化
微動測定
起振機実験
微動測定
起振機実験
NS
EW
NS
EW
NS
EW
NS
EW
3
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
1.00
4
Phase-4/3
2.17
1.00
1.13
1.00
1.09
2.17
2.78
2.17
2.57
5
Phase-5/4
1.33
1.07
0.90
0.99
0.89
1.52
1.08
1.29
1.06
Phase-5/3
2.89
1.07
1.02
0.99
3.30
2.99
2.81
2.72


継続実験

モデル棟を使った建物の沈み込み測定と地震観測に関しては、引き続き実施中です。



(社)日本ツーバイフォー建築協会会報誌「ツーバイフォー」のVol.163 2006/9月号からの転載記事です。

(2007年1月1日掲載)



前のページへ

ページの先頭へ