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調査研究・技術開発
ツーバイフォー耐火構造4階建モデル棟における床衝撃音・空気音遮断性能測定実験結果報告

はじめに

日本ツーバイフォー建築協会と独立行政法人建築研究所は、枠組壁工法に関する共同研究を平成11年度より継続的に実施しております。実大の枠組壁工法4階建建物(モデル棟)を建設し、さまざまな研究を実施してきました。その内、振動実験については本誌163号(平成18年9月発行)において報告しました。今回、床衝撃音遮断性能、界壁の空気音遮断性能について測定しましたので、その報告と同時に最も問題となると考えられる床衝撃音について解説します。


床衝撃音について

床衝撃音とは、上室の床に衝撃が加えられたときに下室で発生する衝撃音です。床衝撃音には飛び跳ねや走り回りといった重くて柔らかいものの衝撃による「重量床衝撃音」と、スプーンの落下といった軽くて硬いものの衝撃による「軽量床衝撃音」の2種類があります。

重量衝撃に対しては床断面の曲げ剛性や面密度の増加、軽量衝撃に対しては床表面材を柔らかいものへの変更が対策の基本です。しかしながら、枠組壁工法のような木質系の構造体では床断面の面密度の増加が難しく、床構造を一体化することにより曲げ剛性を増加させ、床と振動的に分離した遮音天井を用いることが有効となります。


モデル棟について

実験対象としたモデル棟は各階2居室の4階建で、6種類の界床(2A〜4B)と4種類の界壁(W1〜W4)はすべて異なる断面仕様となっています(その他の概要は『ツーバイフォー耐火構造4階建モデル棟における振動実験報告』を参照)。モデル棟の外観を写真 1、断面略図を図(1)、仕様概略を表(1)に示します。また、表(1)中の基本の床断面図を図(2)に示します。なお、乾式二重床とはコンクリート系集合住宅で現在多く使用されている床仕上げ材のひとつで、防振ゴム付支持脚によりパーティクルボードなどの床構造を支持する空気層を設けた床仕上げ材です。


写真1:モデル棟外観
▲写真1:モデル棟外観

表(1):仕様概略

界 床

仕 様

2A

基本+乾式二重床A※

2B

基本+特殊ダンパ※により防振

3A

基本+乾式二重床B

3B

基本+乾式二重床C

4A

基本

4B

基本+アスファルト系遮音シート(8)

界 壁

仕 様

W1

千鳥間柱 石こうボード(21+15)+空気層(140)+石こうボード(15+21)

W2

共通間柱 石こうボード(21+15)+空気層(140)+石こうボード(15+21)

W3

共通間柱 石こうボード(21+15)+空気層(90)+石こうボード(15+21)

W4

共通間柱 石こうボード(9.5+9.5)+空気層(12)+石こうボード(21+15)+空気層(90)+石こうボード(15+21)

ただし、※印は試作品、カッコ内の数値は厚さを表す。


図(1):モデル棟断面概略図

図(1):モデル棟断面概略図

  図(2):基本床断面

図(2):基本床断面

実験方法

1)床衝撃音遮断性能

床衝撃音遮断性能の測定は、JIS A 1418-1(軽量)、JIS A 1418-2(重量)に準拠して行いました。測定用の衝撃源は、標準軽量衝撃源として「タッピングマシン」(写真 2)、標準重量衝撃源としては衝撃力特性の異なる「自動車用タイヤ」(通常“バングマシン”を使用、写真 3)と「ゴムボール」(写真 4)の2種類が規定されています。ゴムボールは2000年のJIS改定時に新たに追加された衝撃源で、1mの高さから自由落下させ、床を衝撃加振します。衝撃力は自動車用タイヤに比べて小さく、木質系や鉄骨系の構造向きであるといわれています。今回はこの3種類の標準衝撃源を使用して測定を行いました。



写真2:タッピングマシン
▲写真2:タッピングマシン

 

写真3:バングマシン
▲写真3:バングマシン

 

写真4:ゴムボール
▲写真4:ゴムボール


2)界壁の空気音遮断性能

界壁の空気音遮断性能の測定は、JIS A 1417に準拠して行いました。妻側の居室を音源室としてノイズを発生させ、隣室の部屋を受音室とし、両室の平均音圧レベルを測定し、その差を求めました。



実験結果


図(3):重量床衝撃音遮断性能測定結果
     (バングマシン)

図(3):重量床衝撃音遮断性能測定結果

  図(4):重量床衝撃音遮断性能測定結果
     (ゴムボール)

図(4):重量床衝撃音遮断性能測定結果

1)−1重量床衝撃音遮断性能

重量床衝撃音遮断性能の測定結果を衝撃源別に図(3)、図(4)に示します。基本の4Aと4Bの床ではほとんど性能が変わりませんでした。乾式二重床を施工した2A、3Aの床では両衝撃源ともに基本に比べて性能向上がみられました。3Bについては、ゴムボールの場合で性能向上がみられました。もっとも性能が高い床は3Aで、Li,Fmax,r,H(1)-62でした。

図(5):軽量床衝撃音遮断性能測定結果

図(5):軽量床衝撃音遮断性能測定結果

  図(6):界壁の空気音遮断性能測定結果

図(6):界壁の空気音遮断性能測定結果

1)−2 軽量床衝撃音遮断性能

軽量床衝撃音遮断性能の測定結果を図(5)に示します。基本の4Aと4Bの床を比べると、重量衝撃でみられなかった性能差が生じました。また、乾式二重床を施工した2A、3A、3Bについては、基本と比べて性能向上がみられました。もっとも性能が高い床は重量衝撃源と同様に3Aで、Li,r,L-53でした。

2)界壁の空気音遮断性能

界壁の空気音遮断性能の測定結果を図(6)に示します。間柱が千鳥配置のW1が最も性能が高いD-42でした。共通間柱であるW2〜W4では、空気層厚や壁の面密度による性能変化はほとんどみられませんでした。ただしこの結果は、バルコニーや内廊下からの廻りこみ音などを含んだ室間音圧レベル差のため、実験室測定結果とは異なることに注意が必要です。


まとめ

今回、モデル棟を使用した床衝撃音遮断性能の測定を実施した結果、コンクリート系住宅以外ではほとんど採用されていない乾式二重床の中には床衝撃音遮断性能の向上がみられるものがありました。さらには、枠組壁工法に対して、標準重量衝撃源として衝撃力の小さいゴムボールを使用する有効性が示唆されました。また、界壁の空気音遮断性能については、間柱の配置を千鳥にすることが有効であることが確認できました。

しかしながら、枠組壁工法の音響性能、特に重量床衝撃音遮断性能は、床面積、下室の壁の仕様、床と壁の取り合い、天井などによる変動要因が多く、今後さらに検討を行う予定です。



(社)日本ツーバイフォー建築協会会報誌「ツーバイフォー」のVol.165 2007/1月号からの転載記事です。

(2007年1月1日掲載)


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