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調査研究・技術開発
ツーバイフォー耐火構造4階建モデル棟における沈み込み量測定実験報告


はじめに

日本ツーバーフォー建築協会と独立行政法人建築研究所は、枠組壁工法による木質複合建築構造技術の発展と普及を図るため、「枠組壁工法による木質複合建築構造に関する共同研究」を実施しています。この共同研究では、平成17年度から実大の枠組壁工法による4階建の建物(モデル棟)を建設し、4階建ゆえに確認しておくべき点について、測定や実験を通じて技術的な知見を得ています。
ここでは、一連の測定のひとつとして行われている建物の沈み込み量の測定について解説します。


床衝撃音について

枠組壁工法による建物に発生する建具の建て付け不良、外壁仕上げ材の亀裂、内壁石膏ボードのずれや割れなどの各現象は、建物の長期的な躯体変形に一因すると言われています。
躯体変形のうち、鉛直方向の変形、すなわち「沈み込み」が生じると、たとえば鋼製階段と木造躯体との間に段差がで
きるなど、さまざまな不具合が発生します。
このような不具合をなくすためには、建物にどの程度の大きさの沈み込みが生じ、どのような設計上の対応を図れば十分かについて考えておく必要があります。特に建物の層数が多くなると総量としての沈み込み量は大きくなるので、4階建の建物などでは一層、沈み込みに対する配慮が必要になります。


モデル棟について

実験では、写真1に示すように、モデル棟の4階天井根太から基礎、4階床根太から基礎、3階床根太から基礎、2階床根太から基礎、における沈み込み量を測定しています。また、平面的には、図1に示すように建物の4隅と廊下中央部、並びに階段下の2カ所の計6カ所について測定を行っています。
写真2に示すように、基礎の側面に固定した変位計のセンサー部分にワイヤーを取り付け、ワイヤーの他端を天井根太または床根太に固定して、長期的に建物の鉛直変位も測定しています。測定は2005年10月から現在まで継続して行っています。


実験方法

図1に示す測定点5の沈み込み量の経時的な変化を図2に示します。沈み込み現象は建設中から現れ、竣工後約10カ月を経た8月下旬まで測定されました。その後は、沈み込み現象は少しずつおさまっています。また、沈み込みの量は、基礎から小屋裏床根太間が約22mm、基礎から4階床根太間が約15mm、基礎から3階床根太間が約9mm、基礎から2階床根太間が約6mmと測定されました。
今回測定した結果はあくまでもひとつの事例に過ぎませんが、たとえば沈み込みとは無縁な鋼製の階段を取り付けた場合など、小屋の床面で2cm近い段差が生じることになるので、あらかじめ設計・施工上の対策を講じておくことも重要です。
図3は沈み込みによる建物全体の変形の様子を示すものです。部位によって沈み込みの量が若干異なりますが、概して各階とも平面的に偏りなく均等に、鉛直方向に変位しています。




実験結果

沈み込み現象は部材の収縮と部材間の隙間の減少によって生じると考えられています。
10年前に、枠組壁工法による4階建の建物の各階床に180kg/m2の荷重を載荷し、建物各部の変形を測定した結果について紹介します。最も変形が大きかった間仕切り壁中央部の1階縦枠と2階縦枠の間の変形は約1mmであり、各部材のひずみ量は上枠、頭つなぎ、下枠、床根太の順に大きくなっていました。縦圧縮を受ける縦枠のひずみ量は横圧縮を受ける上枠、頭つなぎ、下枠、床根太よりも一桁小さな値となっていました。(図4)。


まとめ

枠組壁工法住宅における沈み込み現象は、建設後のある限られた期間に発生しますので、設計・施工上の工夫によって対処することができます。中層の枠組壁工法建物が今後普及していくにあたり、先行する北米などの対応方法を参考としながら対応を図ることも重要です。ここで紹介した測定結果がその一助になれば幸いです。


(社)日本ツーバイフォー建築協会会報誌「ツーバイフォー」のVol.166 2007/3月号からの転載記事です。

(2007年3月1日掲載)



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