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協会活動報告

海外研修

2008NAHB全米住宅展視察会に参加して

技術部 課長 辻村 行雄(現 技術部長)


去る2月12〜19日の8日間にわたり、(社)住宅生産団体連合会(住団連)主催の2008年NAHB(全米ホームビルダーズ協会)全米住宅展視察会が実施された。
「NAHB全米住宅展」は、今回で64回目を迎える歴史あるもので、住宅建築に必要なさまざまな情報が得られる世界最大級の見本市である。
 今回は、まずフロリダ州オーランドでこの住宅展を視察した後、サンフランシスコの市街地の住宅事情も視察した。
(社)プレハブ建築協会の菊田利春専務理事を団長に、住宅、建材、エネルギー供給、住宅生産に係る業界団体関係者と各分野の専門家24名が参加した。

オーランド 住宅展の概要

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▲WEST EXHIBIT HALLS の正面エントランス


▲SOUTH EXHIBIT HALLS のある建物

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▲さまざまなテーマで建てられた屋外展示棟

最初に訪れたオーランドは有名な観光都市であり、1971年にディズニーワールドのマジックキングダムの開園をきっかけにオレンジと放牧の町から発展してきた。東の大西洋に面してはスペースシャトルの発射基地であるケネディースペースセンターがある。

さて、住宅展は、全米で3番目に大きいコンベンションセンターで行われた。我々はまず、13日午前中にエンターテーメントやミュージカルショーのあるオープニングセレモニーに参加し、アメリカ的な展示会の雰囲気に馴れた後、視察会のために特別に企画されたIHA(国際住宅協会)のセミナーに出席し、NAHBの住宅政策・金融担当者と意見交換会を実施した。

ここでは、いま話題の米国に端を発したサブプライムローン問題やグリーンビルディングについてのNAHBの対応状況を知ることができ、たいへん有意義な時間を過ごせた。特にサブプライムについては、住宅生産業界も深刻な問題として捉えており、着工戸数の激減、物件価格の下落傾向にともなう住宅のコストダウンのためのユニオンに属していない低賃金労働者の雇用、物件のフォークローズによる地域コミュニティ崩壊など、旬な情報が得られた。

住宅展への出展はアメリカ、カナダなど北米地域の地元企業が中心ではあるが、遠く日本、中国などからも参加していた。会場は南と西とに分かれ、屋外の動く歩道による渡り廊下でつながっているほど規模が大きかった。会場には住宅の構造用の部資材を始め、内外装の仕上げ材、開口部材、住宅設備機器、エネルギー機器、建設機械・工具、インテリア用品、CAD・積算ソフト、出版物にいたるまでのツールが展示されていた。また、屋外には新技術を取り入れたモデルハウスが建設されていた。

最近の地球温暖化防止に関連して、環境に優しい住まいづくりである「グリーンビルディング」そのものが具現化され展示されていた。NAHBは会員向けに2005年にグリーンビルディングスタンダードを策定し、近年の消費者の意識の高まりから、住宅供給会社も一層省エネ、資源環境対策に力を入れている。翌14日は会場でグリーン会議が開かれ、一段と盛り上がりが感じられた。

以下に、2日間に渡って視察した展示物についての概要・所見を述べる。


〈構造体、構造用部資材について〉

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▲木質断熱複合パネルの展示ブース
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▲I型ビームの配管のための貫通部

展示物の中心は木造で、ツーバイフォー工法が多く、一部に木質断熱複合パネルが見られた。後者は断熱材をOSB(構造用パネル)でサンドイッチした大型のパネルで、さまざまな業者が出展していた。これもグリーンビルディングによるもので、省エネ、省資源(OSB=エンジニアリングウッド)がコンセプトと思えた。ツーバイフォー工法では2階の床梁のI型ビーム、ラチストラスが目に付き、材料選択の多様性が感じられた。

専用住宅ではスチール系は少なく、部分的に木造との組み合わせで生かされ、大型トラスなど性能を発揮しやすい部分に使われているようだ。中層建築物の立面複合で使われている事例もあった。やはり先進国ゆえの技術には目を見張るものがある。

外壁構造用面材の張り方は、北米では横張りが主体だが、今回、展示物に縦張りの例があったので紹介する。

次頁冒頭の写真の右側が旧来の横張りで、面材を横に張るために横方向に合板受けがあり、縦枠上下端には緊結金物が設けられていた。これに対して同じ写真の左側は、面材を縦に張ることにより合板受けや緊結金物が省略され、これは材料の節約につながり、省資源に役立っているとの説明があった。


▲縦枠のめり込み対策のための金属折板

▲耐力壁コーナー部室内側(裏面)。右側が横張り、左側が縦張り
▲1階〜3階までスチール、4階〜6階がツーバイフォー工法(米国 シンプソン社)
    ▲左側は旧来の横張り、右側が縦張り(新規)

〈災害対策部品について〉

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▲固定式ネット ▲巻き上げ式ネット

開催地のフロリダ州(オーランド)はハリケーン、竜巻などの被害発生があることから、日本には見られない災害対策部品があったので、以下に紹介する。

ひとつは、窓の外側に取り付ける巻上げ式のスクリーンである。これは暴風雨時の飛来物による窓ガラス損傷防止のための商品で、デザイン的にも考慮されたものであった。

その他、建物に組み込むように設計されている、竜巻から身を守るシェルターも展示されていた。以前、1階(地下)の鉄筋コンクリート部分に避難するとの話を聞いたことがあるが、このようなユニット式なら簡易に設置できそうである。


〈屋根材、外部部品などについて〉

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▲組み合わせたアルミ型枠

屋根材は厚型の平板瓦の展示が目についた。日本ではコンクリート系瓦か粘土系瓦になるが、米国では硬質樹脂系の成型瓦である。耐久性が有り、長期保証もできるようで、まだコストは高いが、流行の兆しがあるようだ。ただし、日本国内で使用するには不燃材の認定が必要と思われる。

コラム柱の製作に使うアルミ型枠の展示もあった。これはコンクリートを流し込んで使うもので、いくつかの部品に分かれてできており、日本の鋳物の型のように思える。部品の使い廻しができるなど合理的な考え方に基づいたものだった。


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(社)日本ツーバイフォー建築協会会報誌「ツーバイフォー」のVol.173 2008/5月号からの転載記事です。

(2008年5月1日掲載)

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