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日本初、製造・販売された「タイガーボード」で知られる吉野石膏株式会社は、平成8年4月に「広域再生利用指定産業処理者」の認定を受け、全国の廃石膏ボードのリサイクルを開始した。吉野石膏渇c業統轄本部取締役部長の神崎誠一さんは「当時はビルの建設ラッシュで石膏ボードの引き取り要請が多く、リサイクルというかたちで対応した」と語る。
石膏ボードの原料は、石膏と紙。紙は100%古紙が使用され、石膏は輸入品が50%、残りに大気汚染の原因となる硫黄化物を除去する過程で発生する「回収副石膏(大気汚染の原因となる硫黄化物を除去する過程で発生)」と、「廃石膏ボード」リサイクル原料(「廃石膏ボード」から出る石膏)を使用している。現在「廃石膏ボード」リサイクル原料の混入率は製品の8%となっているが、さらに高めるため技術開発を進めていると言う。いわば、石膏ボードは、『リサイクルの優等生』といえるだろう。
しかし、これらリサイクルの場は、端材が出る工場やビルなどの大口建築現場であって、住宅の現場では、分別・回収が図られていないこともあり困難とされていた。しかし、100%石膏ボードを使用するツーバイフォー住宅にとっては、建設廃棄物を減少できる大きなファクターである。
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ここで、石膏ボードのリサイクルに必要な条件と問題点を整理してみよう。吉野石膏(株)東京支店次長の小嶋建介さんは、「新築・解体にかかわらず、完全に分別された石膏ボードそのままを弊社の工場に持ち込んで再処理する費用をいただければ、受け入れることができる」と語り、その条件を現場での分別、石膏ボードメーカーまでの運搬、そしてそのすべての費用を排出企業負担としている。 一方、住宅の現場では、廃棄物の分別が必ずしも進んでいないことに加え、現場が散在している上に、一軒当たりの排出量がビルなどに比べ少量で、トラックで回収する際に採算が取れないのが問題とされている。さらに、住宅の解体現場の石膏ボードは、仕上げ材などが付着しており、分別が困難な上に、その分別を含んだ家1棟当たりの廃棄処理には40坪の家で約200万円のコストが発生する。この余波は当然、施主にも押し寄せ、さらにリサイクルを妨げる要因となっている。 「資材メーカーだけでは、リサイクルは成し得ない。排出現場の協力が必要」と、神崎さんは言う。

▲図1 石膏ボード「タイガーボード」リサイクルの流れ(吉野石膏)
廃石膏ボードの約50%の回収率を支えるリサイクルシステム。回収された石膏は、再石膏ボードの原料となるほか、土地改良剤としても使用される。再生使用途は、今後さらに開発が見込まれている。
そこで、石膏ボードのリサイクルに乗り出したのが、三井ホーム株式会社だ。「弊社は平成11年、資源循環型社会に適応することを目的とした『環境宣言』を行い、まず石膏ボードリサイクルの構築から取り組んだ」と語るのは、技術統括本部環境保全担当マネージャーの氏家政秀さん。まず、三井ホームでは、新築現場で半透明袋を使用し、廃棄物の分別を実施。分別された廃棄物を中間処理施設からリサイクル施設へ運ぶルートと、収集運搬会社と提携し、直接石膏ボードメーカーへ持ち込むルートの二つの運搬ルートを確立した。特に後者は、単品でメーカーに持ち込むため、異物が混ざる心配もなく、リサイクルを容易にすることができ、今後拡大を期待するルートだ。
実際、三井ホームでは近畿地区(大阪府・京都府・奈良県・滋賀県・兵庫県・和歌山県)の収集を大阪尼高運輸株式会社と提携し、新築現場から直接石膏ボードメーカーに持ち込んでいる。大阪尼高運輸は、平成11年以降、順次「産業廃棄物収集運搬業許可」を取得、その後、この取り組みに参加した。顧問の尾川伸夫さんは「1棟あたり、600kgから700kgの排出量のため、小規模の細かな対応ができる運搬会社は有効と考えられる。当社のネットワーク内の地域で、1日3、4件の需要があれば、協力できると思う」と語り、運搬会社の参入がリサイクルの促進につながるとアピールしていく意向だ。

▲図2 廃石膏ボード年間総排出量の推計と内訳
三井ホームは、平成13年度石膏ボードの再資源化率を87・4%という高い水準まで向上させた。しかし、これは新築の場合に限ったことで、解体現場でのリサイクルにはまだまだ時間を要する。ツーバイフォーは、オープン当初の住宅が近年、築30年を迎えるに当たり建替需要が増加することも予測され、解体現場での分別がしやすく、また解体が容易な工法の開発が急務だ。ちなみに、三井ホームでは、現場での端材の削減のため、石膏ボードの工場でのプレカットを行っている。吉野石膏でも、プレカットの対応は可能で、要求に応じて行っている。氏家さんは「今後、サイズの幅を広げ、ストックしていけば、現場での廃棄物を減らすだけでなく、コスト面で顧客へ貢献できる可能性もあるのではないだろうか」と、語る。
石膏ボードのリサイクルは、まだまだ始まったばかり。ただ、いま言えることは、今回の例のように、その成功には、各業界の協力が不可欠ということだ。将来の住宅産業のため、ツーバイフォー建築各社同士が協力して、リサイクルルートを確立し、業界全体でリサイクルに取り組む時期が来ているのではないだろうか。
協会の環境委員会では、いろいろな環境課題について検討を行っています。本件を含め、お問合せ等は事務局にお願いします。また、協会ではツーバイフォー住宅における建設発生木材の再資源化率向上を目指した技術開発「204+R SYSTEM」を進めています。詳しくは、本ホームページの“204+R SYSTEM”を参照下さい。
(2003年3月)
