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工法技術

耐火建築物

用途の広がるツーバイフォー木造耐火建築物実例

平成16(2004)年4月、当協会がカナダ林産業審議会(COFI)と共同で、ツーバイフォー工法の耐火構造認定を他の木造工法に先がけて国土交通大臣から取得したことは、協会30年の歩みのなかでも特筆すべきエポックとなった。

これにより防火地域での建築が可能になり、ツーバイフォー工法は、新たなマーケットに参入。以降、都市部を中心にツーバイフォーによる耐火建築が全国規模で建築されている。会報ではこれまで、さまざまな形でその事例を紹介してきたが、設立30周年記念号を発行するにあたり、ここに事例をまとめた。

耐火構造認定取得が広げたツーバイフォーの可能性に改めて着目し、今後の積極的な取り組みに役立てていただきたい。


事例1:居酒屋おれんち

老朽化した店舗併用住宅の建て替え事例。この地域では、防火地域の規制により建て替えられるのは鉄骨造かRC造ということで、コストや居住性の問題からやむなく他地域へ移り住む人が多かった。だが、木耐ツーバイフォーが選択肢に加わったことで、施主は住み慣れた町に残ることができた。木造耐火にすることで耐火性はもとより、強化石こうボードの採用で耐震性が向上し、気密性も高まって省エネにも貢献、価格面以外にも多大なメリットを生み出すことになった。

写真:居酒屋おれんち
DATA    
所在地 北海道室蘭市
用 途 店舗併用住宅
階 数 2階建て
延床面積 209.7m2
用途地域 商業地域
防火指定 防火地域
工 期 平成16年10月〜平成16年12月
設計・施工 (株)川田建設工業
耐火仕様設計 (有)ウッズ建築設計事務所

事例2:快楽院 庫裏

寺の庫裏という性質上、本堂との調和を考え、和のイメージを大切にしたいと考えておられた住職。従来から木造の建物に住み慣れていたという経緯もあり、ツーバイフォー工法を選ばれた。鉄骨造やRC造に比べ、プランや外観デザインも希望に近いものになったという。和のテイストでまとめられた外観は、寺が建ち並ぶ街並みになじみ、地域のイメージアップにも貢献している。

写真:快楽院 庫裏
DATA    
所在地 東京都練馬区
用 途 専用住宅(庫裏)
階 数 2階建て
延床面積 366.22m2
用途地域 近隣商業地域
防火指定 防火地域
工 期 平成16年11月〜平成17年3月
設計・施工 三井ホーム(株)

事例3:明治清流苑

写真:明治清流苑(外観)

国内最大規模の社会福祉施設として注目を集めた事例。お年寄りにやさしい建物として木造による施設を切望していた理事長の思いを木耐ツーバイフォーが実現した。苑内には特養老人ホームのほか、ショートステイ、デイサービスセンターも併設されている。北側居室をつくらないように軸を45度傾けた十字型の建物配置、避難路となる回廊を住棟の周りに連続させ、雨の日も散歩ができるようにするなど、プランにもお年寄りへのやさしい配慮がうかがえる。ツーバイフォーは合理的な工法であるゆえ、基礎が完成したあとは急ピッチで工事が進捗。「雨にたたられなければ、工期はさらに大幅に短縮できたはず」と、設計・監理を担当した吉高氏は語っている。

写真:明治清流苑(施設内)
DATA    
所在地 大分県大分市
用 途 社会福祉施設
階 数 2階建て(RC地下付き)
延床面積 4469.23m2
用途地域 第一種中高層住居専用地域
防火指定 無指定
工 期 平成17年11月〜平成18年6月
設 計 (有)吉高久人綜合設計コンサルタント
施 工 安藤建設(株)

事例4:すまいる駒場

大型施設における、日本で初めての木造耐火建築物。高齢者養護施設は、ほとんどが鉄骨造かRC造であったが、民間の施設では建築コストの高さが大きな問題。施設開設時には初期投資を極力抑える必要があり、木耐ツーバイフォーの優位性が評価された。約5500m2の敷地にゆったりと配された建物は、1階がデイサービスセンターとショートステイ用の居室、2階はすべて介護付有料老人ホームとなっている。木の質感をそのまま活かした2階バルコニーの腰壁や、明るい外壁が快適な居住性を物語っている。

写真:すまいる駒場
DATA    
所在地 愛知県豊田市
用 途 社会福祉施設
階 数 2階建て
延床面積 1632.14m2
用途地域 市街化調整区域
防火指定 法22条地域
工 期 平成16年9月〜平成17年3月
設 計 (株)ヤマムラ

事例5:真金町5号棟共同住宅

敷地は不動産会社が建売共同住宅用に購入したもの。面積は約90m2あるが、極端に細長い形状で、「建物は木造」という条件が付されていた。これらの厳しい条件をクリアするため木耐ツーバイフォーが選ばれ、販売に有利な建物とするため、3階建てにして収益性を向上。内部にはワンルームタイプの賃貸住戸が計9戸用意されている。

画像
DATA    
所在地 神奈川県横浜市
用 途 共同住宅(ワンルーム)
階 数 3階建て
延床面積 197.01m2
用途地域 商業地域
防火指定 準防火地域
工 期 平成16年12月〜平成17年3月
設 計 (株)新精神

事例6:シャンテ東駒形

70.02m2の敷地に1フロア3戸、計12戸のワンルームを実現した例。オーナーは、防火地域内に賃貸アパートを数多く建築していたが、これまではすべて鉄骨造。しかし、当該地で鉄骨造にすると、実質的に採算性のある建物が建てられない状況であったため、ツーバイフォーに白羽の矢が立てられた。問題は、階数。通常、エレベーターのない建物の4階は賃料設定が低くなるが、戸数は多くしたい。そこで設計担当者は、ツーバイフォー工法の利点に着目し、4階にロフトのあるプランを提案。その変化に富んだプランが人気を呼び、却って高い賃料が設定できた。「建築コストが抑えられ、プランニングも自在な木耐ツーバイフォーは、都市部防火地域内の狭小地有効活用の活路となり、それらの地域に残る古い木造の建て替えを促し、ひいては都市不燃化にも貢献できることを実証した」と設計を担当した佐藤氏は語っている。

写真:シャンテ東駒形
DATA    
所在地 東京都墨田区
用 途 共同住宅(ワンルーム)
階 数 4階建て
延床面積 161.95m2
用途地域 商業地域
防火指定 防火地域
工 期 平成17年6月〜平成17年12月
設 計 サトーテクニカルデザイン(株)

(社)日本ツーバイフォー建築協会会報誌「ツーバイフォー」のVol.164 2006/11月号からの転載記事です。

(2006年12月1日掲載)



「用途の広がるツーバイフォー木造耐火建築物 実例」

Vol.172 2008/3月号 Vol.169 2007/9月号 Vol.164 2006/11月号



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