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工法技術

耐火建築物

ツーバイフォー耐火構造が実現した快適なわが家

平成16年の耐火構造認定取得から4年を経て、当協会が発行したツーバイフォー耐火構造認定書(写)の数は累計704棟(平成20年2月20日現在)と700棟を超える状況となりました。用途も規模も多彩ですが、今回は専用住宅と併用住宅にスポットを当て、そこに暮らす方々にツーバイフォーの耐火構造建築物を選ばれた理由、建築の経緯、住み心地などを語っていただきました。


I様邸“「やっぱり木の家は一番!」居住性が向上し、暖房費も驚くほど低減”

写真:I様邸(外観)
▲外観

築後約40年が経ち、老朽化していた店舗併用住宅の建て替えを計画したI様。
建物はご一家の住居にもなるため、居住性の面から木造にしたいと考えていらしたという。だが、当時は許可が下りず、仕方なく他の工法で計画を進めていたところに建築関係の仕事をしている友人から「ツーバイフォー工法が耐火構造の認定を受け、防火地域でも建てられるようになった」という朗報が届いた。

計画当初、住宅展示場に足を運んですべての工法の建物を実見し、研究を重ねていたI様は、「そのときから木造が一番と思っていましたから、話を聞いて一も二もなく決めました」と語る。

軒を連ねる駅前商店街の中で、木造はI様邸1軒のみ。1階の店舗はその温かみを前面に打ち出して、古民家のような雰囲気でまとめられている。2階建+屋根裏倉庫の旧邸は、3階建に変身して部屋数も増加。そのうえ快適性が驚くほど向上し、月5〜6万円かかっていた暖房費は2〜3万円で済むようになったとのこと。

「一生住む家ですから妥協しなくてよかった。省エネになっただけでなく、やはり、木の家は住み心地も満点です」とI様は語っている。

写真:I様邸(1階の店舗)
▲1階の店舗
DATA    
所在地 東京都
用 途 住居+美容院
階 数 3階建て
敷地面積 45.19m2
延床面積 92.46m2
用途地域 近隣商業地域
防火指定 防火地域
竣工 平成18年12月
設計・施工 東急ホーム株式会社


S様邸“ツーバイフォーと出合って実現した
4世帯が快適な暮らしを満喫できる家

写真:S様邸(外観)
▲外観

建設地はかつての漁師町。狭い路地をはさんで住宅が密集しているが、幸い前面道路は狭いながらも市道だった。そのためセットバックすれば家は建つが、敷地の一部が防火地域にかかるため、一般的な木造住宅は建てられないことが判明。

「たった7坪分だったのですが、そこを避けて建てれば家が狭くなるし、どうしようかと思っていたら、ツーバイフォーの耐火構造なら思い通りに建てられると。鉄筋コンクリート造や鉄骨造も構造的にはオーケーだったのですが、広い道路に面していないので工事車が近くまで入れず、かなり建築費が高くなる。結局、これだけの規模の家を予算の範囲内で建てるにはツーバイフォーの耐火構造しかなかったのです。これに出合えなければ、きっと建て替えを断念していたでしょう」と、S様は感慨を込めて語る。

完成した建物は内部を縦に2分割、東側にS様ご一家と奥様のご両親、西側にS様の奥様の妹さんご一家と伯父様の計4世帯が暮らしている。敷地を十分に活かした設計により、それぞれの世帯がゆとりをもって暮らせる間取りが実現。各々の世帯に設けられた防音室で、ご主人たちは思う存分、趣味の音楽を楽しめるようになった。「断熱性能が高く、冬の暖かさは格別です」と、お母様。居住性にも大満足のご様子である。

写真:S様邸(玄関)
▲玄関(S様邸側)
DATA    
所在地 神奈川県
用 途 専用住宅
階 数 3階建
敷地面積 143.95m2
延床面積 273.14m2
用途地域 商業地域
防火指定 防火地域
竣工 平成18年1月
設計・施工 株式会社新昭和


T様邸“大きなロフトでスペースアップ
美しい外観も自慢の種”

写真:T様邸(外観)
▲外観

田園都市線「宮前平」駅から徒歩5〜7分という好立地に建つこの事例は、周辺の成熟した街並みになじむ低層のタウンハウス。起伏のある敷地形状をできるだけそのまま活かし、共有の広い中庭を囲むように計25戸が建っている。

敷地の所有者は個人で、以前は駐車場であったこの敷地を有効活用するため共同住宅の新築が計画された。建物は、建築コストを抑えるため、また、将来、建て替えや用途変更をする際に取り壊しやすいようにと、ツーバイフォー工法を希望されたが、共有部分をもつ特殊建築物ということで一般的なツーバイフォーでは確認申請が下りないことから耐火構造が採用された。地下はRC造の混構造となっている。

各戸は地下にビルトインガレージ付き3LDKの2階建で、賃料は月20〜25万円と設定された。

外観はリゾートのコンドミニアムやテラスハウスをイメージしてデザインされ、木の質感を活かしたインテリアや充実した設備ともども入居希望者から好評を博したという。共有する中庭には遊歩道が整備され、各戸から自由に行き来できるのも人気。一方で、外部からの侵入防止などセキュリティにも十分に配慮されている。

 
DATA    
所在地 東京都
用 途 専用住宅
階 数 3階建
用途地域 商業地域
防火指定 防火地域
竣工 平成18年11月
設計・施工 三井ホーム株式会社


M様邸“木造ならではの情緒あふれる建物が
子供の情操教育にも貢献”

写真:M様邸(外観)
▲外観

M様邸は、慣れ親しんできた地域の中で住み替えをした例である。

以前の家は、築後80年近く経つ昔ながらの木造建築。老朽化も進んでいたが、ご夫妻は何度も改修を重ね、いとおしみながらそこに暮らしていらした。しかし、棟続きの隣家が取り壊され、鉄筋コンクリート造に建て替えられたことから建物が傾き、なじみの建築家も「もはや手を入れるのは不可能」と。やむなく建て替えを決意されたご夫妻は、準備のため住宅展示場を訪れ、ツーバイフォー工法と出合い、耐火構造にすれば木造でも3階建が建つと知り、即決。その後、諸事情により元の敷地を売却して現在地に住み替えることになった。

3階建にこだわられたのは、ご一家の居住スペースのほかに、日本舞踊の師匠である奥様のために稽古場が不可欠であったから。そして、この町を愛し、年々その情緒が失われてきていることを憂いていらした奥様は、「なんとしても建物は木造にしたかった」といわれる。

「昔は街並みにも情緒が感じられましたが、いまでは目にするのは”コンクリの家“ばかり。だからせめて毎日、前を通る子供たちには木造の家を見せたいと思ったんです。そうすれば子供たちは必ず何かを感じ取り、情緒豊かな人間に育ってくれると思います」と奥様。

外壁は土壁を思わせる色調、玄関には和風の引き戸を採用し、道路に面する窓には以前の家で使われていたガラス入りの障子が……外観は道を行く人たちをホッとさせる和の佇まいである。

「この家に移ってからは不思議と人がよく集まるようになり、町おこしのため子供歌舞伎を立ち上げることもできました。これからもこの家を起点に日本の良き伝統を伝えていきたいと思っています」と奥様は語ってくださった。

写真:日本舞踊稽古場
▲日本舞踊稽古場

写真:M様邸(玄関)
▲情緒あふれるファサードのデザイン
DATA    
所在地 東京都
用 途 住居+日本舞踊稽古場
階 数 3階建
敷地面積 52.66m2
延床面積 123.12m2
用途地域 商業地域
防火指定 防火地域
竣工 平成18年7月
設計・施工 住友林業ツーバイフォー株式会社

(社)日本ツーバイフォー建築協会会報誌「ツーバイフォー」のVol.172 2008/3月号からの転載記事です。

(2008年3月1日掲載)



「用途の広がるツーバイフォー木造耐火建築物 実例」

Vol.172 2008/3月号 Vol.169 2007/9月号 Vol.164 2006/11月号



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