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ホーム住まいのコラム3階建振動実験を振り返って(2/2)

仕上げ材、金物の効果も今回の実験で検証

河 合 実験で使用した材料について、何か特徴的な結果が得られたでしょうか。

五十田 サイディングについては、これがあったがために損傷がかなり抑えられているといっても言いすぎではないほど、効果が出ていたと思います。
ところが、ある程度変形が進むとサイディングが効かなくなってしまうので、設計上は見込まないことにしましょう、という考え方が一方にはあります。しかし、余力としてはかなりあるものだという意識をもっています。

河 合 金物にどの程度の引張力が生じるか、についての測定結果はいかがでしたでしょうか。

五十田 データだけを見ると、たぶん、そんなに大きな値にならないんですね。設計をしているのに比べて低めの値になることが多い。
したがって、いまの規定で設計している分には間違いはないのではないかと感じています。

 

実際の建物は、等級1でも阪神淡路の地震に耐えるはず

河 合 今回、実験棟を等級3で設計しましたが、等級3にしておけば、阪神淡路大震災級の地震では倒壊には至らない、といえるでしょうか。

五十田 去年の11月頃に、「等級1でつくった建物は阪神淡路大震災級の地震には耐えられない」という報道がありました。しかし、あれは仕上げがまったくないような状態で余力が何もないわけで、それで等級1でもつかと言われると、やはりちょっと難しいかなという気がしています。
ただし、実際の建物には、計算では考慮されていない余力とか、材料の安全率があり、それによって少し性能が向上するので、阪神級でももつと思います。

 

地震動に関してはとにかく力で耐えることが重要

 

河 合 ところで、いま制振構造の話題がずいぶん新聞などに出ています。それについて先生のご意見をお聞かせください。

五十田 最近の報道では「制振構造は振動が抑制される」というような表現もされていますが、地震動という不確定な相手に対しては、それは難しいのではないかと思っています。
地震動に関してはよく入力がわからないので、とにかく力で耐えることが重要になってきます。

河 合 制振構造は、鉄骨造にはきわめて導入しやすいけれど、たとえば木造やツーバイフォーなどには難しい、ということはありますか。

五十田 木造の場合は釘で接合したりボルトで接合したりというような要素が入ってくるので、そこで変形が出てしまい、結局、制振部材のほうには、本来考えている変形の半分ぐらいしか入らないということになってしまいがちです。したがって、制振効果があまり出てこないということになります。
一方、鉄骨造は接合がしっかりできるので、制振部材に変形を与えることができますが、減衰だけで地震に抵抗するというのはかなり難しい話だと思います。
海洋型の地震に対しては、たしかに減衰で効果が見られます。しかし、直下型の地震に対しては、減衰とともに十分な剛性と耐力が必要なんです。

 

河 合 最後に、ツーバイフォーのこれからに対する期待といいますか、何かアドバイスをいただけますでしょうか。

五十田 せっかく4階建てが建てられるようになり、2時間耐火の認定をとるという話もあるわけですから、もっと大規模な建物を建てられるように技術的な検討をしていくとよいと思います。
それに関連して、2009年に、日本とアメリカの共同研究で、木造6階建ての振動台実験の話が持ち上がっています。
いずれにしても、今後はもっといろいろなものが建てられるのだという夢をもっていただいて、いろいろ設計を進めてもらいたいと思います。たとえば、ラーメン構造や他の構造と組み合わせていけば設計の可能性が広がりますし……混構造、中層、まだまだいろいろな展開が考えられますね。
先ほども申しあげましたが、限界耐力計算の安全限界は30分の1ラジアンとされていますが、私は、ツーバイフォーはこれ以上の変形性能をもっている可能性は十分あると思っています。
とにかく、地震のときに応答値がどれぐらい出るかということは追えるのですが、どこまでいくとほんとうに倒れてしまうのかはわかっていないので、変形に関して動的なこともあらかじめ検証しておく必要があります。そういう実験をぜひやってみたいですね。

河 合 今日は有意義なお話をありがとうございました。

 

最大層間変形角の推移

 

(社)日本ツーバイフォー建築協会会報誌「ツーバイフォー」のVol.168 2007年7月号からの転載記事です。
(2007年7月2日掲載)

 

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