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住まいのコラム
設置が義務化された住宅用火災警報器

平成16年の消防法改正により、新築住宅については平成18年6月1日から住宅用火災警報器の設置・維持が義務づけられた。既存住宅については、市町村条例により定められた日までに取り付けを完了しなければならないとされている(最長平成23年5月31日まで)。そこで今回は、(社)日本火災報知機工業会の協力を得て、この法の概要を解説するとともに、近年の住宅用火災警報器の性能等にスポットを当ててみた。

 

法制定の背景

この法律が制定されるに至った背景には、住宅火災による死者数の増加があった。しかも、65歳以上の高齢者の死亡率は他年齢層の2倍以上となっている(消防庁データによる)。これは、今後高齢化がさらに進む日本にとって、無視できない問題といえる。

従来、一定規模以上のビル等に対しては自動火災報知設備の設置が義務づけられていたが、火災の実態をみると建物火災による死者数は住宅火災の場合が約88.4%にも達している。ところが、いち早く住宅用火災警報器の設置を義務づけた欧米諸国では、その後、住宅火災による死者数が半減したという。

「日本でも、火災警報器が作動したことで大事に至らなかった例があります。だからこそ、住宅用火災警報器の設置義務化は当然のことととらえています」と、(社)日本火災報知機工業会技術部の山田耕平部長は語る。


グラフ

 

取付場所と位置

取り付けが義務づけられているのは「就寝に使用する部屋」、つまり家族が普段、就寝している夫婦の寝室、子供室。また、階段は煙の通り道になるため、たとえば2階に就寝に使用する部屋がある場合は2階の階段上部の天井または壁にも設置しなければならない。設置および維持基準については、政省令で定める基準に従い、市町村条例で定めることになっているので、各市町村により若干異なるが、3階建て以上の建物などについてはさらに設置すべき場所が多く定められており、出火の危険性が高い台所については、義務づけまたは推奨されていることが多い。

機器には熱を感知する熱式と、煙を感知する煙式とがあるが、熱より煙のほうが早く感知ができるため、法律では煙式が義務づけられている。ただし、市町村によっては台所等には熱式の設置が認められている場合もある。

煙式の取付位置は、煙の性質を考慮して適切な位置に設置することが重要だ。

火災により発生した煙は、まず天井に向かって上昇、天井に到達すると天井を這うように周辺の壁に向かって広がっていく。そのとき、煙の流れは天井と壁が接する隅の部分には流れにくいので、天井に設置する場合は火災警報器の中心を壁から60p以上離す必要がある(梁などがある場合は梁から)。また、壁にエアコンや換気扇などがある場合は、その吹き出し口から1.5m以上離す。壁に設置する場合は天井から下へ15〜50p以内のところに火災警報器の中心がくるように設置する必要がある。

 

 機器の種類

ここで火災警報器の種類についてご紹介しておこう。

熱式と煙式のいずれにも電池を使うものと家庭用電源(100V)を使うものとがある。後者は電気工事士による工事が必要な場合があることや、コンセントへ差し込むタイプはコードが露出することから、近年は設置や交換が容易な電池式が主流となっている。

機器の交換期限は機種によって異なるが、性能維持のためには10年を目安に交換することが望ましいとされている。

機器の機能もさまざまで、感知した火災警報器だけが警報を発する単独型の他、接続されているすべての火災警報器が警報を発する連動式もある。連動式には無線式もあり、配線の必要がないことから、既存住宅にも設置しやすく、今後は増えていくと予測されている。また、高齢者や、目や耳の不自由な方のために、音や光で知らせる補助警報装置もあり、これにも有線式と無線式がある。


●代表的な火災警報器
代表的な火災警報器

代表的な火災警報器
パナソニック電工株式会社URL:http://panasonic-denko.co.jp/

 

機器選択の基準

NSマーク
●NSマーク

以上が機器に関する概要だが、さて、どのような機器を選んだらよいのだろうか。法令(消防法施行令5条の6)では「その形状、構造、材質及び性能が総務省令で定める技術上の規格に適合するもの」とされている。

日本消防検定協会では、この基準に適合しているかどうかを検査し、適合が確認されたものに対して「NSマーク」を貼付等しているので、それを目安に選べば安心だ。

また、このマークの付いた火災警報器を各市町村条例に基づいて設置すれば、火災保険の割引制度が利用できる(損害保険会社により異なる)という利点もあるので、ユーザーにも薦めやすいだろう。この他、市町村によっては一定の条件により住宅用火災警報器の給付や給付補助などを行っているところもあり、これは各市町村の福祉課などで確認ができる。

 

設置図面の添付義務

なお、この住宅に対する火災警報器取り付けについては、義務化はされているものの罰則規定はない。しかし、市町村消防本部によっては、住宅用火災警報器の設置届けが必要な場合がある。また、新築の場合、建築基準法施行規則の改正により、建築確認申請書および完了検査申請書に住宅用火災警報器の設置図面を添付することが必要となっているので、施工側としては注意したい。

この他、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)が改正になり、住宅の火災安全性能が等級で示されるようになっている(表参照)。

●火災安全性能の等級
 

感知を行う部分

警報の到達範囲

居室

階段

台所

等級4

すべて

すべて

すべて

住宅内の全域

等級3

すべて

すべて

すべて

感知場所の近傍

等級2

すべての寝室

一定の階段

すべて

感知場所の近傍

等級1

すべての寝室

一定の階段

感知場所の近傍

*寝室が存する階から直下階に通ずる階段など

 

最後に、山田部長に使用上の注意点等をまとめていただいた。

「まず重要なのは適切に設置すること。そして、初めて使用する際は家族全員で警報音を確認すると同時に、避難の方法・経路などを相談しておくことも大切です。また、機器が正常に作動することを月に1回は確認し、10年を目安として機器を交換してください。私どものホームページでは、全国の市町村条例の最新情報や機器販売店のリストを掲載しておりますので、ぜひご活用ください」

 

山田 耕平氏

(社)日本火災報知機工業会
技術部 担当部長
山田 耕平氏
【(社)日本火災報知機工業会ホームページ】
http://www.kaho.or.jp/

(2008年12月1日掲載)
(2009年11月1日更新)

 


(社)日本ツーバイフォー建築協会会報誌「ツーバイフォー」のVol.176 2008年11月号から転載の記事です。


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