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ツーバイフォー工法オープン化40周年記念

ツーバイフォー工法の次なる進化に向かって

座談会
【出席者】(写真左から)
●清野 明氏/協会技術部会長(三井ホーム(株) 生産技術本部 本部長補佐)
●下河原 勝氏/協会東北支部 支部長((株)FPホームサービス 代表取締役)
●ショーン・ローラー氏/カナダ林産業審議会(COFI)日本代表
●宮村 昭広氏/(株)住宅産業新聞社 取締役編集長
●司会 仮屋 茂樹氏/協会会報編集委員長(三井ホーム(株) 広報部長)


仮屋 茂樹氏ツーバイフォー工法のオープン化から40周年。この記念すべき大きな節目の年を迎える今、ツーバイフォー住宅の着工戸数は着実に増え続けています。
今後、さらなる拡大・発展を遂げられるよう、これまでの歩みを振り返るとともに、これからの課題について、皆さんと忌憚なく語り合っていきたいと思います。

(司会 仮屋茂樹)

40年を振り返って

下河原 下河原 勝氏 私はこの業界に入って42年、オープン化とほぼ同年数ですが、ツーバイフォー住宅1棟目を建てたのは、17年後の平成元年です。これから自分たちが手掛けていく工法だから、自分たちで造ってみようと、大工さんの自邸を建て、将来の成功を確信してスタートしたのです。平成3年には、北米・カナダへ渡航してツーバイフォー住宅を見学し、土地も包括した活況ある販売を目の当たりにして、不動産部門を設立しました。もちろん当時は、「家は在来軸組で」とほとんどの人が考えていましたから、ツーバイフォー工法を知っていただくために、協会会員がグループとなって、住宅フェアに出展し、広報活動に注力しました。そのほか、ツーバイフォーがやってこれた要因は、協会が行ってきた耐火や耐震の研究・実験などがユーザーへの啓蒙となったこと。現在、地元の岩手では、多くの人が、「ツーバイフォー住宅は安心」という認識をもっています。
 また、東日本大震災時に、各地域から職人さんが来て応急仮設住宅の建設工事を行ったのですが、そのとき、オープン化の利点である「ツーバイフォー工法の住宅はどこの会社がやっても同じようにできるんだ」ということを、改めて実感させられました。

ショーンさん、カナダ林産業審議会は、日本が、ランバーをはじめ、自国の材のマーケット、ビジネスチャンスの国としておつきあいがスタートしたと思いますが、これまでを振り返っていかがですか。(仮屋)

ショーン ショーン・ローラー氏 当時、私はいなかったのですが、上司から聞いたところ、40年前に日本市場が大きな規模になり、まず、ニーズを把握することに重点がおかれたようです。カナダから輸出したのはツガの製材でグリーン材(未乾燥材)だったのですが、カナダで普及していた一般的な等級のものではなく、品質の良いものを要求されました。強度がしっかりしているだけでは日本の市場では受け入れてもらえず、ニーズを把握するまでには少し時間がかかったようです。
 登録外国認定機関として活動し始めて、JAS製材工場を造りました。品質を把握して、その製品を開発しましたが、課題は、日本市場向けの良質な資材を安定供給して、顧客の信頼を得るためにバックアップ体制を整えることでした。これを経済状況の変化や物流面の問題を乗り越えて維持することは、ときには苦難をともないます。しかしそれらを乗り越えてきた結果、カナダはディメンションランバーの日本市場への供給者として、トップの座を維持することができました。

清野さん、ショーンさんのお話を受けて、技術面からお話いただけますか。(仮屋)

清野 清野 明氏 昭和49年のオープン化後の50年代、私は協会の技術部委員として、省エネ基準(旧省エネ告示)を決める委員を務めました。それが協会とのおつきあいのスタートでした。
 ショーンさんの話にありました輸入材については、当初、入ってきたヘムファーのグリーン材(未乾燥材)からSPFのKD材(乾燥材)へ切り替えるにあたっての課題を検討したり、また、同時期に南洋材のラワン合板が使えなくなり、カナダの針葉樹合板に替えた場合はどんな問題がおきるかといった課題検討を経て、昭和50年代後半に、ランバーと合板は現在のものに定着したと思います。
 昭和57・58年頃「音対策」に取り組み、今は当たり前になっていますが、吊り天井にし、床構造から分離した下地をつくって、そこで石膏ボードを打ち込んでいくということを協会あげて研究し、その成果が広く伝わっていきました。また同時に、住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)の仕様書の改訂の委員にもなり、普及に係りました。20代でこうした住宅の基本づくりに携わることができ、幸運だったと思います。
 階数の告示改正については、昭和50年代から60年代にかけて実大構造・火災実験で安全性を証明し、2階建てから小屋裏3階、そして正3階も建てられるようになりました。それから時は進みますが、平成10年に、平成12年の建築基準法大改正に先行して、ツーバイフォー工法の性能規定化に挑戦し、同年、法令上、階数制限がなくなりました。平成10年までに構造面での規制緩和をやってきたということです。
 防耐火については、平成3年、ツーバイフォーだけでなくオール木造で、木造3階建共同住宅を可能にするために、建築基準法の準耐火構造にしなければならないということで、制度改正に向けて実大実験を実施し、あと残ったのは耐火構造への道でした。中層・大型建築物の実現を目指す「木質複合建築構造技術の開発」をテーマにした総合技術開発プロジェクト(総プロ)の共同研究に、協会も参加し、ショーンさんのカナダ林産業審議会から資金の援助をいただき、平成15年に「外壁・間仕切り、屋根」が、平成16年には「床・階段」が大臣認定され、ツーバイフォー工法が木造として初めて耐火建築を建てられるようになったのです。それからちょうど10年。その点でも、今年は記念の年であります。ツーバイフォー工法は、ある意味では規制緩和をどんどんやり続けて、活躍できるフィールドを増やしてきたという、そんな40年だったと思います。

時系列で理解が進むお話をしてくださり、ありがとうございました。では、宮村さん、ジャーナリストの立場から、ツーバイフォー工法をどう見ていらっしゃるのか、お聞かせいただけますか。(仮屋)

宮村 宮村 昭広氏 最初、木質プレハブとの差がよく分かりませんでした。プレハブというのはプレハブリケーションですから、現場で造る以前に形ができている。では、2×4の材料を使うツーバイフォーってどんなものなんだろうと。その後、プレハブと木軸の間に位置するようなイメージができて、量産型のプレハブと1品生産の木軸の中間でいいとこ取りみたいな感じなのかなと思いました。正直なところ、着工戸数は、そんなに多くなかったんだなと、という感想です。累積着工戸数が220万戸を超えたということでかなり数はあると思いますが、性能に優れるツーバイフォー住宅が、なぜ、もっと伸びないのか、不思議な感じがします。
 協会さんは、そのほかの団体に比べて、かなり面倒見がいいですね。率先して研究や実験を行い、「耐火構造」の大臣認定なども協会さんで取得して普及を図ってこられました。この点からも、もう少し、着工数が伸びる余地はあるのではないかと勝手に思っているんですけど。

ツーバイフォー住宅が望まれた理由

それぞれお話いただいたなかで、宮村さんから良い建物を供給しているんだからもっと着工戸数が増えてもいいんじゃないか、という お話がありましたが、ツーバイフォーの良さを語っていただきたいと思います。(仮屋)

下河原  お客さんの評価は非常にいいです。「よその家にいくと寒いんですよね」とか、ツーバイフォー工法と在来工法の現場見学会では「隣の家は車の音が聞こえたんですが、こっちは聞こえない」とか、気密・断熱性や遮音性の良さを実感されるお客さんが多いですね。あと、光熱費の安さに驚かれる方もいます。私は縁あって、老人ホームの事業にも携わっています。耐火構造で造ったツーバイフォーの建物の電気代は、鉄骨3階建の建物の電気代の約2分の1で済みます。職員は電気代が半分というのは、想像以上だったと言っています。また、地震に強いことも喜ばれます。東日本大震災でもツーバイフォー住宅は地震に耐えたと評判でした。暖かくて経済的、静か、安全・安心など、トータルで優れていることが評価されています。
清野  着工戸数が伸びたのは、ほかの工法と比べて、性能面で圧倒的に優位だったからです。また、デザイン面では、洋風外観の商品に外国語の名前をつけ、瀟洒な印象をアピールしてお客さんの心を惹きつけることができたからだと思います。

座談会風景
平成26年3月5日 都市センターホテルにて

ツーバイフォー工法のこれから

今後、ツーバイフォー工法がさらに認知、普及、拡大していくための課題や取り組みについて、お話をいただきたいと思います。(仮屋)

下河原  これからは中層や大規模建築、福祉施設や幼稚園など住宅以外の公共建築の受注を伸ばしていく必要があります。狭小地における中層住宅建設に取り組み、現在は、ビルトインガレージからエレベーターで2階のリビングへ、3階の寝室へと移動をスムーズにした高齢者向け住宅を建てています。いわば「土地つきマンション」で、比較的安い、雪を片付ける必要がない、ペットを飼えるなどが利点です。市街地中心部に残る古い長屋住宅の建替地において、ツーバイフォー工法はもってこいじゃないかと思っています。

カナダでは、日本で建てられていない木造の5階建て、6階建てが建設されています。ショーンさんからご覧になった日本のツーバイフォーのフィールドについて、お話していただけますか。(仮屋)

ショーン  現在、日本のツーバイフォー住宅の着工戸数は増えていますが、気になるのは5年、10年先。今後、人口は減っていき、高齢化が進むなか、日本の住宅市場が拡大するという状況はあまり期待できませんね。だから、ほかのきっかけを考えてみると、リフォームはキッチンとか水まわりが多いので、木材を供給する立場としては、あまり面白くないですね(笑)。だから、木材の需要が拡大する方法を真剣に考えなければいけません。2008年のリーマンショックで、アメリカの市場が非常に悪くなったとき、カナダの州政府で、木材の需要をいかにして増やすかがテーマになりました。その対策の1つとして、BC州政府は木造の公共建築物の法律をつくり、少しずつ増やしていったんです。
 あと、市場拡大の可能性があるのは、5階、6階建ての建物だと思います。現在、カナダではバンクーバー市において木造6階建てを認めているため、1階が店舗、2〜6階が住戸という建物が増えてきています。鉄筋コンクリート造と比べると工期が短く、建設コストも低い。低炭素社会に向けた街づくりの点でも有利です。今後、協会さんと協力して、4層以上の中層木造建築物に必要な水平耐力性能を発揮する木質構造の高耐力壁ミッドプライを日本の市場に紹介したいと思っています。日本の4階建て、5階建てに導入されるまでには少し時間がかかると思いますが、ミッドプライは着工戸数拡大の後押しになると思います。
 またCLT※を使うことにより、さらに市場を拡大することができると思います。戸建て住宅から中層や大規模建築物へ。日本政府、国土交通省や林野庁の多面的なサポートにより、充分に市場拡大の可能性があると思います。ただ、平成22年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」ができていますが、着工増のペースが遅いと思います。我々としては、5年、10年先には売上げの約3分の1が非住宅分野というバランスを目指したいと思います。

※CLTとはCross Laminated Timberの略称で、板の層を各層で互いに直交するように重ねて接着した大判のパネルで、新しい木質構造用材料です。寸法安定性の高さ厚みがあることから、高い断熱・遮音・耐火性を有するというメリットがあります。

清野さん、「市場拡大に向けて、告示改正など規制緩和を実現させてきて、現状において技術的な課題はほぼ克服した。あとは実際のプレイヤーである個々の会社が頑張って、公共や民間の施設系建設に取り組まなければならない」と言われましたが、詳しくお話いただけますか。(仮屋)

清野  戸建て住宅の場合、工法ではなく、企業間の争いになっていると思いますので、再度、工法の認知度を高める努力をする必要があると思います。昭和50年代の黎明期には、多くの人たちに知ってもらいたいと、企業も一生懸命、PRに努めましたが、最近はどうもそこが不足しているかなと。公共建築の場合、日本の木造の文化が「構造材=仕上げ材」なので、ツーバイフォーのような構造材を石膏ボードで被覆するというのは設計事務所の方々に採用していただけない、発想の転換をしてもらわなければならないのではないかと。また、都道府県発注の公共建築物の場合には、地域の業者さんが参加してつくるというスキームが大事なので、そのための体制や地域材などの供給の仕方を整備していかなければならないと思います。
 CLTという材料が出て来て、日本ではこれからですが、ツーバイフォーでも床に使えないかという検討を今年度始める予定です。カナダでは20階建てを建てようと真面目に検討していると聞きました。今、世界中で木造が期待されていて各国の事情は違いますが、ますます発展していく、そういう気運があるのです。その流れのなかでツーバイフォー工法はまだまだ活躍できるステージがあります。

宮村さん、今後、取り組むべきテーマにはどんなことが考えられますか。(仮屋)

宮村  現在、住宅ストックの質の向上が求められていますので、性能の高いツーバイフォー住宅は、この点でも、伸び代が大きいと思います。
 今後については、まず、外観デザインの差別化が必要だと思います。どの工法もどんなデザインにもできますが、「これがツーバイフォーのデザインだ」という心が奪われるものをつくってほしいですね。あと、リフォームについて、ルールにのっとっていればいろいろできるということをアピールしていき、リフォームを手掛けられる設計士を養成してもらえたら、信頼性が増すと思います。

本日は貴重なお話をいただき、誠にありがとうございました。ツーバイフォー業界は、設備投資が必要なプレハブ業界と異なり、大手の住宅会社だけでなく、各地の工務店、設計事務所さんも一会員であることが大きな特長です。その理由はツーバイフォー工法がオープン工法だからです。これまで、多くの共通技術の研究・実験を行い、政策当局に規制緩和を要望し実現してきました。今後もオープン化しているからこその利点を生かして、ツーバイフォー工法がさらに優れた工法となるよう努めたいと思います。 池田 富士郎 協会専務理事池田 富士郎
協会 専務理事

 

一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会会報誌「ツーバイフォー」のVol.201 2014年春号から転載の記事です。

 



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