一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会

vol.7「センターコート」 庭+建物=住居、という発想

写真

家づくりの際は、敷地+建物=庭、つまり先に敷地内に建物を配し、その残りの余白を庭にすることが多い。しかし、この家は、庭+建物=住居。初めに庭から発想し、中庭を住まいのコアとして設計している。そこには、庭という空間を建築家の視点でとらえ、庭を建物の一部として構成したいという建築家の意志が反映されている。一般の庭は生垣やフェンスで区切られてはいるが、視界的にはオープンで他人の視線にさらされる。ところが、庭を建物の外壁と一体になる壁で囲うことで、そこは家族のプライベート空間として機能するようになり、外から見れば疑いもなく内部空間となる。しかし、室内から見ると、外部とも内部ともつかない領域に感じられ、そのあいまいさが何とも心地よい。しかもそこは自然光にあふれ、風が吹き抜ける、快適な居住空間である。また、この中庭は、壁面と床面で自然光を反射させることで、室内に光を誘導させる装置としても機能する。だから中庭を囲むスペースはどこも、ひときわ明るい。そして陽が落ちたあとは、室内からの明かりが美しい風景を創り出す。また、差し込む光は影を生み、時刻や季節によって移ろう光と影を楽しむこともできる。写真ではグレーのコンクリートタイルの隙間に玉砂利を敷き詰め、黒で染色した濡れ縁を置いてシックなジャパネスク調に仕立てているが、しつらえも使い方も、自由。その発想は、住む人・家族にゆだねられている。

 

(一社)日本ツーバイフォー建築協会会報誌「ツーバイフォー」転載記事