一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会

独自の構造技術を組み合わせ 大空間を創出した都市の住まい

▲シンプルなフォルムを追求したコンテンポラリーモダンの3層住宅。北側道路に面するビルトインガレージがある1層目が地階にあたる。


家族の視線や気配を心地よくつなぐ約60m2の大空間


 邸宅が建ち並ぶ住宅街に、コンテンポラリーモダンスタイルのT邸は建築されました。地階がRC造、1階・2階がツーバイフォー工法の混構造の住宅です。北側道路に面するビルトインガレージは地階に位置し、その脇の門扉を通り、シャープなフォルムの階段を上がって1階の玄関へと至ります。
 玄関ドアを開けて目に入るのは、イタリア産ウォールナット材の突き板を用いたアートのような壁面。これは、その向こうに広がるDKとの間仕切りであり、リビングへ導くホールの壁でもあります。1階はLDKのフロアです。ステップで緩やかにつながる約60㎡もの大空間は、大断面の集成材を採用した独自の強固なラーメン構造の「Gフレーム」により実現しました。
 LDK空間の設計のポイントは「つながり」と「分離」をバランスよく組み合わせること。リビングをスキップダウンさせ、床にレベル差をつけたことにより、家族の視線や気配をつなぎつつ、L、D、Kそれぞれのスペースや機能をほどよく分ける設計になっています。また、テラスを囲むようにL型に大きな窓が設けられ、さらなる明るさと広がりが確保されました。テラスは地階の和庭ともつながり、外階段で行き来できます。

▲正面のガラスドアの向こうがエントランスホール。内装に自然の木や石が使われ、照明にダウンライトが多用されて、ほどよい落ち着きと開放感が両立する1階フロア。



 
エントランスホールからスキップダウンさせたリビングを見る。リビング手前の右方に階段室があり、左手の突き板の壁の向こうにはDKが広がる。   ▲木目が美しい壁と古木の意匠梁で空間に表情を添えたDK。キッチンからテラスの緑が見渡せる。。

▲「Gフレーム構法」によってリビング最大天井高3.1m2、約60mの大空間が実現したLDK。リビングは床のレベル差により、奥のDKとはほどよく分かれた空間になっている。リビングの折り上げ天井にはウエスタンレッドシダー、床には幅広のチーク材が使用されている。


コンテンポラリーと自然素材が融合するモダニズムを追求


 夫妻が望まれたのは、過度な装飾を削ぎ落としたコンテンポラリースタイルと、自然素材が落ち着きや安らぎを与えるデザイン。この2つを融合させるため、T邸にはインテリア、エクステリアに、不要な造作を極力表に出さない設計が施され、素材感のある材料を組み合わせたコーディネートでまとめられました。ファサードには、外装タイルやガラスパネルが使われ、5m超のハイノキの常緑樹が配されています。内部空間には、大判タイル(床)、石貼り(壁)などの無機質な材料とともに、幅広フローリング(床)や突き板(壁)、羽目板・古木(天井)などの木の素材が使用され、調和が図られています。
 古木の意匠梁は、ご主人自ら、設計者と四国へ出向き、現物を見ながら配置や形状を選定されました。外壁材はご主人が一目で惚れ込んだタイルを下部に、上部の吹き付け塗装は微妙な色を表現して特有の風合いに仕上げられ、細部に至るまで、夫妻が望むモダニズムが実現しました。「おかげで、住み始めて2年以上経った今も、とても快適。どんな立派なホテルに泊まるより、わが家のほうが居心地いいと感じるくらい気に入っています」と、夫妻は住まいに対する満ち足りた気持ちを語られました。


 
▲北入りのアプローチ。シンボルツリーのハイノキは最上階まで届く高さがある。   ▲1階の玄関は外階段を上がったところにある。壁を巡らせてプライバシーを確保するとともに、吹抜けから外光を取り入れる設計になっている。

 
▲地階に茶室をイメージしてつくられたミニマルな和室。壁面は左官職人の手による錫製。「最後の仕上げ磨きは家族全員で行いました」と奥様。光が差し込むドライエリアは和風の庭。内塀を杉板型枠コンクリート打放し仕上げにした。。

 

スタッフからのメッセージ


三井ホーム (株)
設計コンサルタント
荒井 信之さん

ツーバイフォーに技術的プラスαを融合し、高レベルなデザインや大空間などをご提案

 三井ホームは1974年の設立以来ツーバイフォー工法のリーディングカンパニーとしてお客様と共に数多くのオーダーメイドの家づくりに取り組んでまいりました。
 長い歴史のなかで様々なスタイルの変化および多様化が進みましたが、それぞれに対応できるデザインの懐の深さも私たちの特徴です。設立時からの洋風住宅の流れを組むトラディッショナルなスタイルはもとより、今回のようなコンテンポラリーモダンでも高いレベルのご提案を行うよう心掛けております。
 また構造では、敷地条件から地階をRC、上階をツーバイフォーの混構造とし、1階には独自技術の「Gフレーム」(集成材ラーメンフレーム)の採用による大空間の創出など、ツーバイフォーに技術的プラスαを融合することで新たな空間をご提示できました。
 このような自由な提案のベースとなるのは、ツーバイフォーの耐震性・気密性をはじめとした基本性能の高さであることは言うまでもありません。


DATA
敷地面積/217.78m2(65.87坪)
B1F床面積/95.46m2(28.87坪)
1F床面積/107.52m2(32.52坪)
2F床面積/93.42m2(28.25坪)
延床面積/296.40m2(89.66坪)
設計・施工/三井ホーム(株)