一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会

クイーン・アン様式を取り入れた地下室付き住宅

▲クイーン・アン様式が取り入れられ、多角形の塔屋やカバードポーチ、外壁のラップサイディングが特徴のH邸は地下室付き住宅。半地下構造による地下室は基礎と一体化した空間で、地上から1mほど顔を出すかたちなので、地階に配置された各部屋に光と風を取り込むことができる。


古さが味になる北米の伝統的な建築様式を再現

 幼い頃からアメリカンカルチャーが大好きだったHさんは、家づくりにあたり本格的な北米式の住宅をつくることを希望されました。「子供時代を過ごした祖父の家は、戦前に建てられた3階建ての洋館でした。伝統的なスタイルの建物は、古くなるほどに愛着が湧き、街並みを味わい深くするということを感じて育ったので、自分の家もそうありたいと思いました」と語ります。
 選ばれたのは、18世紀のイギリスを起源とし、植民地時代のアメリカで華やかさを増した建築様式「クイーン・アン様式」。多角形の塔屋やカバードポーチが設けられた左右非対称の外観デザインが特徴的で、H邸ではさまざまな資料をもとに窓の位置やコラムの形・数まで忠実に再現されました。部屋の入口や階段のクラシカルな装飾にもHさんの思いが込められています。
 構造も本場と同様、ツーバイフォー工法がベース。「見えない部分だからこそ、100年先、次の次の世代につなげられるように」と、外周の構造材に2×6材が用いられ、耐震性、気密性・断熱性が高められました。

▲耐震性、気密性・断熱性の高さに支えられる大空間。歴史的な建物は、内装が変わっても階段は当初のままという事例が多いため、このリビング階段のデザインは細部まで吟味された。ご家族は壁にお気に入りの絵や写真を飾って楽しまれている。


 
イエローがテーマカラーのダイニングキッチン。オープンプランになっているが、シンクが設置されたカウンターが真ん中に配置され、空間を区切る役割を果たしている。

 
リビングのテーマカラーは青緑色。吹き抜けの伸びやかさが強調されている。西側には両開きのフルオープンサッシが設置され、リビングと一体的に使える大きなテラスがある。そこからプライベートガーデンへ下りる階段が設けられている。

 
多角形の塔屋の1階には玄関がつくられている。奥には家族用の内玄関がある。空間演出のポイントとなる照明器具が設置されている。


半地下構造で総3階建てと同規模の容積に

 H邸は半地下構造により、総3階建てプランと同じように大きな床面積を確保することができたので、外部・内部ともゆとりのある配置が可能となりました。東西に長い敷地を活かし、道路に面する東側には前庭が設けられ、近所の方や友人とバーベキューなどを楽しむ広場として使われています。西側のプライベートガーデンにはリビングにつながる大きなテラスや芝庭のほか、畑もつくられています。
 階段を取り込んだ吹き抜けのリビングが住まいの軸となり、オープンプランによる横への広がり、縦への伸びやかさが創出されています。また、各空間にはテーマカラーが選ばれ、さまざまな表情が生み出されています。
 地階には音楽スタジオがつくられました。「地下室なら音漏れのリスクは少ない」と、Hさんはスタジオづくりにこだわり、防音ドアに加えて、前室(小部屋)が配置されました。音を遮断できるので、「地階に主寝室もありますが、思う存分楽器を演奏できます。休日には友人を招いてセッションを楽しんでいます」と語ります。

▲地階につくられた音楽スタジオ。「以前はマンション暮らしだったため、音漏れが気になっていましたが、現在は、気がねなく演奏を満喫できます」とHさん。

◀家族で音楽を楽しめるファミリーホール。半地下構造なので窓から採光・通風を確保できる。


▲多角形の塔屋部分に設けられた2階のファミリールームはお子さんたちの遊び場になっている。


 

▲小窓のような鏡が設置された2階の洗面室。

 

▲1階の洗面・脱衣室。ピンクのストライプ柄のクロスが用いられている。

 

スタッフからのメッセージ


工藤建設 (株)
フローレンスガーデン
住宅事業部営業課
佐治 一史さん

総合建設業の強みを生かし高性能地下室付き住宅を提案

 地元密着型の総合建設会社である当社が住宅事業を本格始動したのは22年前。カナダの住宅会社3社と提携し、社員5人をカナダに派遣して本場の高気密高断熱住宅を習得しました。そして土木工事業に携わってきた強みを生かし、基礎を兼ねたベースメントと2×6材を標準にしたツーバイフォー工法の地下室付き住宅建築に取り組み、ゆとりある住生活のための設計提案を行ってきました。また、住宅先進国である欧米の街並みに学び、ファサードやガーデンエクステリアにも注力しています。
 住宅は完成すると、構造など大事な部分が見えなくなってしまうので、当社では建築中9回のお客様立会確認を実施しています。配筋工事完了時や基礎コンクリート打設後の基礎天端レベル、断熱工事完了時など重要な建築過程を目にして、お客様に安心していただくことが大事と考えています。建築現場の美化を徹底させ、施工品質と安全性を向上させることにも重点をおき、「魅せる現場コンテスト」(一般社団法人 現場きれい推進協議会主催)では3年連続日本一になりました。


DATA
敷地面積/342.08m2(103.47坪)
B1F床面積/78.16m2(23.64坪)
1F床面積/76.99m2(23.29坪)
2F床面積/51.80m2(15.67坪)
延床面積/206.95m2(62.60坪)
設計・施工/工藤建設(株)フローレンスガーデン 住宅事業部