一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会

協会事業活動

ツーバイフォー50周年事業 「カナダ建築視察研修会2025」報告

日本ツーバイフォー建築協会では「ツーバイフォー50周年事業」の一環として、2025年10月19日~26日に、「カナダ建築視察研修会2025」を実施しました。8日間にわたる研修の様子をご紹介します。

▶︎視察内容

カナダ林産業審議会の協賛により、最新の中層大規模木造建築の見学や省エネルギー住宅の建設現場の視察、現地の林産関係者からのプレゼンテーションや工場の見学など。

▶︎参加者

副会長の蓮井団長をはじめ会員企業11社より全15名が参加した。参加者は北海道から沖縄まで住宅メーカー、住宅建設会社、建材メーカー、設計事務所、コンポーネント会社、不動産系などさまざまな業種の人材が集まった。

▶︎視察先

日本に輸出されるSPFの約70%を出荷するブリティッシュ・コロンビア州(BC州)と、約30% を産出するアルバータ州。カナダでは州単位で建築基準が定められているが、両州とも標準的なツーバイフォー工法で6階建てまで建設可能。

スケジュール

日付 場所・訪問先 内容
10月19日 成田空港からバンクーバーで乗り換えてエドモントンへ
10月20日 アルバータ州 AFPA(アルバータ州林産業協会) プレゼン・ミーティング】アルバータ州の森林と林業
アルバータ州の 2x4 建築(WoodWorks)
軽量木造建築物における火災リスクの低減 多層建築物の遮音対策
Star Building Components Edmonton社 工場見学】
トラス製造工場とパネル製造工場
StreetSide社 工事中現場見学/建物見学】タウンハウス
10月21日 Weyerhaeuser社 工場見学】製材工場
ACQBuilt社 工場見学】パネル工場見学
プレゼン・ミーティング】アルバータ州のモジュール住宅、プレハブ住宅
Landmark 社 工事中現場見学】モジュール式 2x4 住宅
Fairfield by Marriott Edmonton 宿泊】ツーバイフォー工法によるホテル
10月22日 エドモントンからバンクーバーへ移動
BC州 カナダ林産業審議会バンクーバー事務所 プレゼン・ミーティング】
BC州における 2x4中層建築(WoodWorks )
建築基準法のアップグレードのための革新的な 2x4 システム(FPInnovations)
BC州の森林概要等
10月23日 ラングレー
フォートラングレー
ノースバンクーバー
工事中現場見学】
①6階建て木造コンドミニアム
②ミュージアム
③大規模な倉庫
④大規模な注文住宅
10月24日 UBC
(ブリティッシュコロンビア大学)
建物見学】
①ウエスブルックコミュニティ
②UBC ゲートウェイビル
③CIRS ビル
④地球科学センター
⑤ブロックコモンズ
⑥オーチャードコモンズ 等
10月25-26日 バンクーバーから成田空港へ
Highlight Scenes

研修会のプログラムのなかから、プレゼン・ミーティング、工事中現場見学、工場見学、建物見学の主な場面をお届けします。また、各視察先に対する参加者の皆さんの声を紹介します。

プレゼン・ミーティング

アルバータ州林産業協会(AFPA)では、持続可能な森林管理と森林の経済効果が数値で示された。人口急増に対する郊外のアフォーダブルな住宅、耐火や遮音性についての説明を受けた。

「林業が与える経済効果を理解できた」

「5~6階建ての木造シェアが右肩上がりで、 近年はほとんどが木造という発表に非常に勇気づけられた」

参加者の声(以下同)

カナダ林産業審議会バンクーバー事務所では、 BC 州の森林概要、2×4 中層建築、建築基準法のアップグレードのための革新的な2×4 システムについての説明を受けた。

「持続可能な森林管理と木材加工、建築への利用推進がうまく循環している 」

「非営利の研究機関が政府と産業界からの支援を受け、建築基準改正に必要な研究開発を担っていることに 日本との体制の違いを感じた」

現地でのプレゼン資料

本研修では森林管理や建築への利用推進、耐火や遮音対策、技術開発などさまざまなプレゼンテーションを受けました。
会員限定で各資料を共有いたします。

▶︎資料はこちら

工事中現場見学

「日本とは法規制や構法・工法上の違いがあるものの、中大規模木造をツーバイフォーで建てる可能性を感じた」

「今後の木造建築物の将来を見たように思う」

「足場を組まずにクレーンで施工していて驚いた」

ラングレーに建設中のLatimer Village Rentals。傾斜地に立地し、地下1~4層+地上1階のRC造に、ツーバイフォー工法の5層が載った最大10層の大型木造コンドミニアム。

親の敷地に子供が家を建てるというコンセプトのラングレーの大規模な高級注文住宅。

「木の家に耐久性・価値があることが認識されていて素晴らしい」

「床組トラスが採用され、配管がうまく納められていた」

「プレゼンで紹介された耐火塗料やせっこうボードの被覆状況が確認でき、参考になりました」

「フレーミング作業と完成物件の両方を見られてよかった」

StreetSide社のエドモントンのタウンハウスの建設現場。広大な敷地に続々と建設が進む。

「 開口部の梁に鋼材を用いるなど、柔軟に材料を選択している」

「 工事中でしたが、断熱性の高さを実感しました」

左:ラングレーに建設中の農業用の大型倉庫。
右:右頁のACQBuilt社のパネル出荷先であるLandmark社のZEH対応住宅。ソーラーパネル、外断熱仕様、高性能断熱サッシなどを装備。

工場見学

エドモントンのACQBuilt社。「ジャストインタイム」と「自働化」というトヨタ生産方式を採用。床パネルは1日1人で3棟分生産でき、壁パネルは窓やドアを取り付けて出荷。

「施工会社との設計~開発~生産の一連の連携が理想的」

「床パネルの自動釘打ちや階段のユニット化生産に驚いた」

「AIを活用した方法は自社でも取り入れたい 」

「同社の製品を扱っているので視察先でいちばん興味があった」

「広さと規模に圧倒された。スキャン技術を使った選別の速さに驚いた」

「日本向けのJグレード材の品質のよさを改めて実感した」

ドレイトンバレーに立地するWeyerhaeuser社の製材工場。年間生産量は約50万㎥。

Star Building Components Edmonton社ではトラスと集成材等の製造工程を見学。

「工場が整頓されていて素晴らしかった」

「最新設備の導入で最少の人員で稼働している」

建物見学

UBCのバンクーバーキャンパスで主要構造に木材を多用した18階建ての高層ビル学生寮「ブロックコモンズ」や、宙に浮かぶ階段のある「地球科学センター」、NLTを天井に使った「オーチャードコモンズ」や書店などさまざまな木造建築物を見学。

「最新の木造技術の導入事例を見学できてよかった」

「NLTやマスティンバーの仕上がりを実物で確かめられて有意義だった」

「木造ホテルへの宿泊は貴重な体験になった。客室内は非常に静かで、隣室や上下階の音・気配を感じなかった」

「宿泊施設の計画の参考になりました」

エドモントン空港近くの木造ホテル。地階・1階がRC造で、2~5階の客室フロアがツーバイフォー工法で建てられ、客室は全135室ある。

StreetSide社の4住戸が1棟になった3階建てタウンハウス。

「日本と変わらない規模感。コンパクトな間取りでコスト面の効率化が図られていた」

●現地の林産業関係者との交流や参加者同士の交流も研修の成果に

 現地の林産業関係者との交流も積極的に図られました。アルバータ州の林産副大臣とプレゼンターの皆さんと一緒に昼食をとったり、BC州の林産業関係者との懇親パーティでは、カナダと日本で今後も友好的で発展性のある関係を続けることが宣言されました。また、地域・年齢・立場・職種もさまざまなメンバーが8日間行動を共にするうちに、お互いの距離が近くなり、声をかけ合える関係を築けたことはこの研修の大きな収穫です。

BC州の林産業関係者との懇親パーティ。