一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会

協会事業活動

坪井記念事業

坪井東(つぼいはじめ) 初代会長

坪井記念事業は、当協会初代会長坪井東氏の遺志を受け継ぎ、協会が基金事業として行ってきたものです。
「坪井賞」から始まり「坪井記念研究助成」へと継続し15年間にわたる事業は、平成26年度をもちまして終了となりました。
事業の成り立ちと歩み、また助成による研究成果について紹介します。

坪井賞(1998年~2003年)

当協会は、平成10年(1998年)に「坪井賞」を制定して、毎年度、枠組壁工法技術の開発・研究に業績のあった研究者を表彰し、枠組壁工法の発展に努めてきました。
この「坪井賞」は、昭和51年の協会設立以来、平成8年7月に物故されるまで会長を務められた坪井東氏の、わが国の住宅産業の合理化・近代化にかける多大な熱意を受け継ぎ制定されたもので、その運営は、ご遺族等よりの寄付金を原資に、当協会が基金事業として行ってきました。

有馬東大教授に「坪井賞」贈呈

平成10年7月23日、第104回理事会の冒頭、協会会議室において第1回「坪井賞」の授賞式が行われた。
受賞者は、東京大学大学院教授(当時)有馬孝禮氏で、木質住宅の構造性能に関する分野での顕著な功績等が評価されての受賞となった。赤井会長より賞状及び副賞(目録)を贈呈した。

坪井記念研究助成(2004年~2013年)

そして、平成16年(2004年)には、基金のさらなる有効活用と枠組壁工法の発展を目指して制度を改訂し、これまでの功績に対する表彰から、公募により選定した研究テーマに対する「坪井記念研究助成」へと制度を改めました。2004年から2013年までの10年間に若手研究者による計48件の研究に対して助成を行ってきました。

その研究成果は、毎年度、当協会の定次総会時に発表会を開催し、会員等に公表するとともに、会報誌、ウェブサイトを通じて広く一般公開しています。また成果をまとめた論文は、関係学会等において発表することを推奨しており、博士号取得に結実したケースもあります。

▲第10回坪井記念研究助成成果発表会(2014年6月)

ここに、基金を提供いただいた坪井家にお礼を申し上げるとともに、研究者や関連技術者の皆様、また長年にわたり選考委員をお引き受けいただいた学識経験者の皆様に、心から謝意を表します。

(2014年10月31日)

坪井記念事業の概要
  坪井賞 坪井記念研究助成
1.表彰対象者
助成対象者
若手研究者の業績を顕彰
(1名/年)
2の研究対象分野に関する研究・開発・調査等を行う者またはグループへの助成(2~4件/年)
応募資格(40歳代以下)
●大学、公民の研究機関に在籍し、研究活動に従事する者
●企業、設計事務所、NPO法人などに在籍し、研究活動に従事する者
2.研究対象
分野
ツーバイフォー住宅を含む住宅生産の健全な発展にとってきわめて有用な諸技術の開発・研究 枠組壁工法建築物の技術・生産システム、意匠、計画に関する研究・開発・調査等
3.助成金   1件当たり原則100万円
4.運用原資 基金(5,000万円)の利子運用を原則とする 基金(5,000万円)から搬出する
5.表彰・選考
委員会
敬称略)
委員長/救仁郷 斉
委員/杉山 英男
委員/住宅金融公庫 理事
委員/国土交通省住宅局住宅生産課長
委員/日本ツーバイフォー建築協会会長
委員長/立石 真
(元日本建築センター理事長)
委員/松村 秀一
(東京大学大学院教授)
委員/平倉 直子
(平倉直子建築設計事務所主宰)
委員/国土交通省住宅局住宅生産課長・木造住宅振興室長
委員/日本ツーバイフォー建築協会会長

坪井東元協会会長の足跡

坪井東元会長は、当協会の設立発起人代表として、その準備段階から尽力し、設立後は、会長としてつねに先頭に立って、ツーバイフォー工法の優位性の立証と、わが国の風土に適合したツーバイフォー住宅の普及・定着に努力を傾注されました。

特に、草創期においては、住宅業界に壁式構造の技術的蓄積が皆無の状況を打開するため、公的機関の認知のもとに大規模な耐震・耐火実験を実施するとともに、カナダ政府の協力も得て、住宅需要者並びに住宅建築業者に対する啓蒙事業を全国(延べ開催都市31)で実施、今日の全国的なツーバイフォー住宅の普及拡大の基礎をつくられました。

住宅供給の根幹をなす資材の安定確保と流通の円滑化にも力を振るわれ、国内の流通体制整備のため「資材供給会社推奨制度」の創設を指導されました。また、技能者・技術者の教育訓練にも熱心に取り組まれ、講習会、研修会の定期的な開催や厚生労働省の技能検定職種へのツーバイフォー工法技能の採用にもいち早く運動されました。

加えて、国際的視野を持たれ、海外の先進技術の導入、輸入住宅を軸とした国際化への果敢な対応など、わが国の住文化の向上に資する活動の牽引役を果たされました。

坪井賞

1.坪井賞の目的

ツーバイフォー住宅を含む住宅産業の健全な発展にとって極めて有用な諸技術の開発・研究に取り組む若手研究者を表彰し、その研究姿勢や研究内容、功績等を顕彰することにより、住宅産業の一層の合理化・近代化の推進を図り、良質・低廉な住宅供給の促進に寄与する。

2.坪井賞の受賞者とその研究内容
第1回
(1998年)
有馬 孝禮氏
(東京大学大学院教授)
木質住宅の構造性能
第2回
(1999年)
菅原 進一氏
(東京大学大学院教授)
木造の耐火性能
第3回
(2001年)
坂本 雄三氏
(東京大学教授)
住宅・建築の環境工学
第4回
(2002年)
宮澤 健二氏
(工学院大学教授)
構造計算技術
第5回
(2003年)
長谷見 雄二氏
(早稲田大学教授)
防耐火性能
※所属は受賞当時のものです。
3.受賞者の選考範囲
(1) 大学、公的研究機関または、民間研究機関の研究者で、住宅の性能向上あるいは、生産合理化等に資する研究課題に取り組み、その成果が期待される者。
(2) その他の者であって、その創意・工夫が従来の住宅の品質または、供給形態を格段に向上させると期待される研究を行っている者。

坪井記念研究助成

一般社団法人日本ツーバイフォー建築協会は、ツーバイフォー工法(枠組壁工法)の正しい理解と普及を図るとともに、同工法のさらなる発展と住生活価値の最大化に資する技術開発を推進するため、2004年から2013年までの10年間、枠組壁工法ならびに枠組壁工法建築物に関連する研究等に対して助成する「坪井記念研究助成」を実施して、研究等の振興と若手研究者等の育成に努めてまいりました。

この「坪井記念研究助成」は、昭和51年の協会設立以来、平成8年7月に物故されるまで会長を務められた坪井東氏のわが国の住宅産業の合理化・近代化にかける多大な熱意を受け継ぎ制定されたもので、その運営は、ご遺族等よりの寄付金を原資に、当協会が基金事業として行ってきました。

皆様からのたくさんのご応募、ありがとうございました。

各年度別の応募数と受賞者数

2004年の第1回研究助成から2013年の第10回研究助成までの応募件数は154件であり、そのうち、助成を行った件数は48件であった。

  応募件数 助成件数
2004年 21件 6件
2005年 16件 5件
2006年 18件 6件
2007年 16件 5件
2008年 13件 4件
2009年 15件 5件
2010年 11件 4件
2011年 11件 3件
2012年 17件 6件
2013年 16件 4件
研究成果の概要

研究テーマを俯瞰すると、その年代に社会的に求められているテーマが採択されていることから、研究者がかなり機敏に、時代の求めているテーマを捕らえていることが判る。またこれから必要になるであろうテーマにも挑戦している。たとえばツーバイフォー工法での国産材利用や、大規模施設など住宅以外の用途への工法適用に関するテーマがそれに該当する。

一方、ツーバイフォー工法がグローバルな発展をしてきた背景や地域性の差異についての研究は、今後の方向性を探るうえで役立つテーマ設定であった。

性能面では音に関する研究が複数年にわたり行われ、性能向上の方法が研究された。音に関してはツーバイフォーの弱点としてとらえる向きもあるが、この研究の一環として重量衝撃音の評価方法の提案もされ、ツーバイフォーに限らず木造建築全体に影響を及ぼす研究が行われた。また、室内気候・防耐火・振動対策・構造性能についても、性能向上に関する数多くの研究がなされた。

ツーバイフォーなど木質構造に求められる機能として、木質感がある。京町家を意識した研究やツーバイフォー材の新たな工法開発など、木質感をいかに出すことができるかに関するテーマもあった。

研究テーマは、単に研究にとどまらずに実用化を意識したものが大半であり、協会が行う研究助成制度の意義が十分に発揮されたものと考えられる。

事業の成果

坪井記念研究助成事業の影響もあり、日本建築学会の発表テーマにおいて枠組壁工法を題材とした研究数は減少することなく一定の数値を示しており、この事業がツーバイフォー工法の発展の一翼を担ってきたことが確認される。