一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会

ツーバイフォーとは

柔軟な生産体制と働きやすさを両立
52m×50mの大空間を確保した特殊鋼加工の大型木造工場

▲特殊鋼の加工・販売会社が加工技術の強化を目的に、自社と新規提携先との中間地点に設置する新しい生産拠点として建設された木造の大規模工場。養老鉄道の線路沿いにある右手の切妻屋根の建屋が工場で、その入り口に片流れ屋根の材料荷さばき場が配置されている。「働く人に優しい工場」をテーマに設計され、人・地域・未来をつなぐ拠点にという事業主の意向から、地元の小学校や幼稚園の子供たちを対象に、SDGsセミナーも催された。

 2026年5月から稼働している岐阜県海津市の特殊鋼加工工場は、延床面積2,999m2と大規模なツーバイフォー建築物です。金属加工の多種多様なニーズに対応する生産体制を構築するために、柔軟な機械配置を可能とする大空間の確保が設計のポイントでした。工場の1階にはLVLトラスを用いて52m×50mの広大な作業空間がつくられ、トラスやLVLに支持された天井クレーン(荷重1t)が4基設置されました。隣接する材料荷さばき場は耐力壁をコラム状に設け、16mの広い開口が実現しています。
 構造材の生産及び建方工事を担当したコンポーネント会社は、「トラスを活用したツーバイフォーの非住宅を協業で計画可能」ということを近年各取引先に働きかけてきました。本物件は2023年に建築したトラス+ツーバイフォーの金属加工工場※1で協業した住宅会社が元請となり、事業が展開しました。「事業主様は当初、鉄骨造を検討していましたが、既存の工場をご案内し、実物でご説明する機会を得ることができました。実際に働く方から『夏涼しく冬暖かい』という感想を聞いたことで、ツーバイフォーの断熱性・遮音性を実感し、従業員の働きやすさを重視するご要望とマッチしたようです」と、コンポーネント会社の担当者は語ります。ツーバイフォーの耐震性・耐火性能や、鉄骨造より約25%建設費を削減できるコストパフォーマンスも評価されたといいます。竣工後、機械の移設作業が真冬の2月に行われましたが、既存の鉄骨造の工場と比較して室温が約6度も高く、労働環境の改善効果がはっきりと示されました。本物件の木材使用量は418m3と一般的な木造住宅※2の17〜21軒分に相当します。

※1 会報誌2024年春号(VOL.241)に掲載した工和製作所工場  ※2 延床面積30 〜35坪

▲工場棟の製造エリア。「デキルをカタチに。」という事業主の生産体制スローガンを実現するラインを構築するために52m×50mで最大天井高約7.5mという大空間が確保された。作業環境を重視することで工場内は避難安全検証法を用いて窓を設けない設計とし、室内環境が四季を通して最良となることを図った。

▲建設中には構造見学会を行って、大規模木造の可能性を広くPRした。

▲スケールの大きい大空間はツーバイフォーの構造躯体とLVLトラスと中間柱によって実現した。

▲断面図

▲天井に4基設置された荷重1tのクレーン(上棟時)。複数の天井クレーンを備えた木造工場は日本初。

▲2階建て部分は事務所スペースとなっている。

▲2F 平面図

▲1F 平面図

▲道路側からの外観。新しい工場像をビジュアルでも表現するため、外壁に石調のサイディングを用い、随所にアクセントカラーを配して、美術館のようなモダンなデザインを目指した。

DATA 孟鋼鉃(たけしこうてつ) 株式会社 海津センター
所在地/岐阜県海津市
用途/工場(精密機械部品加工工場)
構造/枠組壁工法(工場棟:準耐火建築物)
階数/平屋建て(一部2階建て)
敷地面積/7,044.8m2
延床面積/工場棟2,999.07m2 材料荷さばき場311.52m2
設計・監理/(株)an一級建築士事務所
構造設計/(有)酒井建築設計事務所
施工/HAGIホーム・プロデュース(株)
建方・構造材供給/(株)シガウッド
工期/2025年1月〜2026年1月(建方工事:2025年4月〜6月)
法規制/都市計画区域内(建蔽率60%、容積率200%)
Vol.250 2026年夏号

(一社)日本ツーバイフォー建築協会会報誌「ツーバイフォー」転載記事