一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会

ツーバイフォーとは

ツーバイフォー工法×CLTの木造医院建築
CLTを外観・天井に現した3階建て複合型クリニック

▲閑静な住宅街にあり、オオカンザクラの並木道沿いに立つ木造3階建てのクリニック。以前は内科のみで鉄骨造の建物だったが、内科と整形外科の複合型クリニックとしての開業にあたり、新たな地で木造が選択された。清潔感と温かみの両方を兼ね備えた外観は、CLTによる木の軒天を活かしたデザイン。愛知県産木材の魅力を実感できる建築物として「第9回あいち木づかい表彰」最優秀賞を受賞した。

 武家屋敷の風格が残り、名古屋有数の閑静な住宅街である白壁エリアに完成したこの建物は、ツーバイフォー工法で、床と天井(屋根)にCLTを使用した木造3階建ての複合型クリニックです。患者さんが安心して治療を受けられ、地域住民の憩いの場になってほしいとの事業主の想いから温かみや癒やしが感じられる木造が選ばれ、ツーバイフォー住宅の実績が豊富で、非住宅木造建築にも力を入れる建設会社が設計・施工を手がけました。
 1階はCT・X線室を備えた内科、2・3階は手術室などを完備した整形外科となっており、3階には大空間のリハビリ室が入っています。特筆すべきは、各階の床構造にヒノキ・スギ材を使った7層(厚さ210mm)のCLTが用いられた点です。これによりリハビリ室は最大5.7m×17.3mの無柱空間が実現し、さらに待合室やエントランスなどの天井部にCLTを現しで活かすことで、温もりや安らぎを感じさせる木質空間を創出。CLTは各階の軒裏にも現しで利用され、外観デザインのポイントにもなっています。
 西三河地方から産出された「あいち認証材※1」を217m3使用するなど地場材を活用しているのも特徴です。愛知県内では大径の長尺材の確保が難しいため、短尺材をフィンガージョイント※2した材の利用により調達を可能にしました。設計担当者は「ツーバイフォー工法のシンプルな面構造はコストや工期面で有利に働き、事業主に建築プランを提案しやすい。また、施工性や耐震性が高く、火が燃え広がりにくいファイヤーストップ構造は大規模な木造の非住宅建築に非常に有効だと思います」と意欲的に話します。

  • ※1愛知県産材認証機構の認証を受けた木材。愛知県内で適切に管理された森林から合法的に伐採され、製材・加工・出荷までの履歴を追跡できる、信頼性の高い材。
  • ※2端部を櫛状に加工して、木材を長さ方向に接着接合すること。

▲1階平面図

▲1階の内科の待合室。天井にCLTが現しで活かされ、温もりが感じられる。見える部分には節の少ないヒノキを採用。2階の整形外科の待合室も同様にCLT現しの木質空間となっている。

▲2階平面図

▲2階の整形外科フロアにある手術室。ツーバイフォー工法の面構造により揺れにくく遮音性の高い空間になった。

▲3階平面図

▲3階の柱のない約100㎡超のリハビリ室。衝撃を吸収する木材特有のクッション性は患者さんやスタッフの足腰への負担軽減にも効果的。

▲床のCLTをあらかじめ工場で加工することで現場の作業効率が上がり、わずか3週間で構造躯体が組み上がった。

▲矩計図      

▲ポーチ部分の屋根はCLTを用いることでアール形状にデザイン。角地を活かした丸みのあるやさしいフォルムで患者さんを出迎える。

DATA
所在地/愛知県名古屋市
用途/診療所
構造/枠組壁工法[準耐火構造]
階数/地上3階建て
敷地面積/359.33m2
建築面積/246.83m2
延床面積/712.92m2
事業主/医療法人名甲会
設計・施工/フロンヴィルホームズ名古屋(株)
構造材供給・建方工事:(株)サイプレス・スナダヤ、ヒノキブン(株)
工期/2024年11月~2025年8月
法規制/第2種住居地域(建蔽率70%、容積率200%)、準防火地域
Vol.249 2026年春号

(一社)日本ツーバイフォー建築協会会報誌「ツーバイフォー」転載記事