ツーバイフォーとは
伝統と近代技術の融合が図られた木造の教育施設
北側の1階中央近くにエントランスがあり、両側に教室と幼稚園の保育室が配置されている。1階屋根の上に多目的空間のある傾斜屋根、その先に体育館のある傾斜屋根が見える。外装には地元産のベイスギが使われている。
■エンジニアード・ウッドと地域産材のコラボレーション
「クワキウトル ワガラス スクール」は、カナダのバンクーバー島北部に居住する先住民の子供たち約90人が学ぶ教育施設です。
伝統的な芸術・文化と近代的建築技術の融合が意図された建物は、構造にエンジニアード・ウッドと無垢材の両方を使用。耐力壁を的確に配置し、教育施設に求められる強度を確保しています。外・内装にも使用されたダグラス・ファーとベイスギは地元の森林から伐採・製材されたものです。近隣のコンポーネント工場で各種の構造パネルの製作が行われ、大規模な建物にもかかわらず建方工事が5日間で完了し、生産性だけでなく、脱炭素化や地元の産業の活性化に役立っています。
■教室と体育館がつながった教育施設
建物はワンフロアで、北側の教室・幼稚園の保育室と南側の体育館、それらをつなぐ多目的空間の3つのゾーンからなる構成です。中央が高くなる差し掛け屋根が配され、多目的空間の最大天井高は約7.2m。体育館の最大天井高は約11.4mで、両空間とも勾配天井になっています。
自然環境との共生を重視し、体育館にはハイサイドライト、多目的空間にはトップライトが設置され、教室には陽光をたっぷり取り込めるように腰高の窓が連続しています。
この建物は、2017年に英国でBUILD Design Awards最優秀賞、2019年BC州でWood Design Awards最優秀賞を受賞しました。
南東側から見る。平屋であるが天井高の異なる3つのゾーンがある。
北面に窓を連続させ、安定した光を取り込む教室。一般的な授業に加え、語学指導や文化関連のプログラムも行われる。
最大天井高11.4mの体育館。ハイサイドライトが設置されている。内装にはベイスギを使用。
多目的空間には丸太の柱や梁、手前に向かって高くなる勾配天井に206材が使われている。
- 所在地:カナダ ブリティッシュ・コロンビア州ポートハーディー
- 規 模:平屋 延床面積: 1,650m2
- 設 計:ルボア・トゥルブカ(Lubor Trubka)
- 竣 工:2016年
- Photo&Report:Peter Powles
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