ツーバイフォーとは
「“メーカーさんがどれだけ正直になってくれるか”これが、納得のいく家づくりのポイントですよ」
▲敷地の南側に建物を寄せる独特な配置で、斜線規制を気にせず自由にデザイン。急勾配の屋根やダブルハング窓など、かねてから憧れていたという洋風の外観を実現しています。
『イギリスはおいしい』など多数の著書でおなじみの“リンボウ先生”のお住まいは、築5年のツーバイフォー住宅です。建て替えのきっかけは、あの阪神淡路大震災。
「仕事柄、相当な数の蔵書があり、地震などがあったら床が抜けるのは必至。“これはいけない”と思って建て替えを決意しました」
耐震性を重視した先生が注目したのは、震災でも倒壊がなかったというツーバイフォー工法の家。力学的に強度の計算ができるという設計の合理性に加え、かねてから憧れの洋風デザインの家が実現できる意匠性の高さも、決め手となったようです。
▲先生ご自身が彫られた表札。
こうしてできたのが、地下1階、地上2階の3層住宅。耐震性・遮音性に優れた地下には、書庫と音楽室を配置したうえで、非常用の井戸を設置。食料、コンロなども常備して、シェルターとしての機能をもたせています。また、寝室や書斎、サニタリーなどの小さな部屋を1階に、ダイニングなど広い部屋を2階に配置し、壁式工法の理にかなった、下層に壁の多い安全設計の空間を実現。壁が多い分、開口部は少なくなりましたが「絵を飾って楽しむには、むしろこの方が好都合」と、独自の美学で楽しんでいるご様子です。
「研究熱心で建築知識もプロ級。ご自身のコンセプトを明確にして臨んでいただいたので、非常にスムーズにご提案ができました」と、施工担当のスタッフも、達成感を感じているよう。階段の幅や、歳をとるにつれて気になる地下書庫への行き来など、若干の課題は出てきたものの、インテリアや各部の演出にまでご自身のセンスを発揮した住まいは「実に快適」とのこと。ちょっとした不具合にもすばやく対応する、メーカーのアフターメンテナンスにも、大変満足しているようです。
「施主側の、家づくりに対する勉強は不可欠。そのためにも、施工側から『家づくりとは何か』など、施主がおのずとコンセプトを理解できるワークショップやシンポジウムなどの啓蒙活動をもっと積極的に行うべきですね。メリット、デメリットが正直に伝われば、施主も安心できるし、お互いが満足のいく家づくりができますよ」と、ご自身の経験を振り返りながら、これからの家づくりのコツを語ってくれました。
▲ゆったりとした玄関ホール。左手のドアは靴収納などの副玄関。ニッチに飾られた宝船と福助人形がユニーク。
▲地下に設けた約22畳もの書庫には、防火ドアを採用。レールのついた集積書架は、ハンドル付きで移動が容易。
▲声楽の練習や、友人たちとのセッションなど、この音楽室で過ごす時間はとても快い。壁に飾られているのはご自身やお嬢さまが描かれた絵。
▲家族のふれあいの場となる2階のダイニング。インテリアは、家具や壁紙、カーテンに至るまで、ご自身で納得のゆくまで探されたとか。
▲書斎の前庭には砂利を10cm程敷きつめ、その上から枕木をのせている。南側の隣家からの視線をウッドフェンスでカット。落ち着いた陰影美の漂う、お気に入りの空間です。
林 望(はやし・のぞむ)氏 略歴
作家・書誌学者。『イギリスはおいしい』で日本エッセイスト・クラブ賞、『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』で国際交流奨励賞を受賞。エッセイ、小説、詩、能楽等、著書多数。著書の挿絵を描いたり、音楽仲間と共にコンサートを開くなど、絵画や音楽ほか幅広いジャンルを手がけている。
ホームページURL http://www.rymbow08.com/
| DATA |
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| Vol.135 2002年1月号 |
| 著名人 |
(一社)日本ツーバイフォー建築協会会報誌「ツーバイフォー」転載記事
