ツーバイフォーとは
奥行き感を味わう細長空間
ツーバイフォー工法が実現した、光があふれ、視線がのびる奥行き14mのオープン空間
▲広いデッキは快適な戸外空間。前面道路からの視線は建物によって遮られ、心おきなくくつろぐことができる北国・北海道ならではの抜けるような青空をバックに佇むY様邸。その外観は、周囲の建物とは一線を画す独創的なデザイン。敷地自体やや縦長の形状だが、それにも増して建物は極端なほど東西に細長く計画されている。 建物の出入り口部分の間口は約3.6m。それに対して全長は約14mという細長いボックス型のオープン空間の中に、1階には玄関からリビング、ダイニング、キッチンが縦一列に連なり、リビングの吹き抜けによって2階とも一体化されている。そして南側には、このボックスからはみ出すように水回り空間がまとめられ、南面は小さな窓だけで閉ざされている。敷地にはまだ余裕があるのに一体なぜ、こうしたカタチになったのか? 設計担当者の答えは明快だった。 「道路ギリギリまで建物を延ばしたのは、北海道は緯度・経度の関係で南側からより西側から光が差し込む時間が長いので、それを室内に存分に取り入れるため。また”個性的でかっこいい家“を望まれたY様の期待に応えて、一般の住宅では味わえないほどの奥行き感を楽しんでもらうためのものでもありました」 さらに設計担当者は、玄関に近い位置に構造上もっとも重要な耐力壁を配し、それに玄関収納とテレビ台という機能をもたせることで周りとなじませ、ツーバイフォー工法の可能性を表現したという。そのため設計の際は3階建てと同様の構造計算をかけ、3階建てに使用する金物や構造用アンカーボルトを用い、設計上の工夫も加え、デザイン性を損なわずに構造の安全性を確保している。
▲リビングからの見通し。これだけの奥行き感は、住宅ではなかなか味わえない
▲玄関の土間と室内の床との段差はわずか。収納を兼ねる耐力壁の両サイドから出入りできる。写真右は玄関ドア側から写真左は逆からの眺め
▲細長いボックス型空間の玄関側は床を下げ、リビングと階段部分の上を吹き抜けにして高さを確保し、上下左右に窓を多設して日中の陽射しを存分に取り入れられるようにしている。耐力壁は、こちら側ではテレビ台に活用。そのボードや階段踏み板の濃茶色とソファの赤が白い空間を引き締めるアクセントになっている細長いボックス型空間の玄関側は床を下げ、リビングと階段部分の上を吹き抜けにして高さを確保し、上下左右に窓を多設して日中の陽射しを存分に取り入れられるようにしている。耐力壁は、こちら側ではテレビ台に活用。そのボードや階段踏み板の濃茶色とソファの赤が白い空間を引き締めるアクセントになっている
随所で奥行きの深さを実感。こだわりのインテリアが暮らしのシーンを美しく彩る
▲キッチンに立つと玄関まで見通せ、窓を通して外の様子までわかる。手前左側に隣接する洗面室、浴室、シャワー室との間は、家族の間では中が多少見えてもかまわないと、広がりを感じさせるスリガラスの建具を採用玄関付近はY様邸で一番日照条件のよい場所。そこで、出入り口部分とは耐力壁をパーティション代わりに場を軽く仕切ってはいるが、リビングを含めサンルームと名づけている。リビングには、一家の主の座を象徴するかのようにご主人のために真っ赤なソファが置かれている。上部の吹き抜け天井は5mを超える高さ。左右の窓だけでなく、2階からも明るい陽光が降り注ぎ、何とも心地よい特等席である。そのうえ、オープンな空間構成なのでキッチンに立つ奥さまの様子や、2階にいるお子さんの気配も居ながらにして感じ取れる。一方、奥さまはキッチンから外で遊ぶお子さんの姿まで見ることができ、「室内外の景色を楽しむには、むしろここが一番よい場所かもしれません!」と。また、2階の廊下もあえて直線を長くとることで奥行き感をもたせ、吹き抜けを取り巻くように回遊させることで移動とともに窓から外の景色が見渡せるように計画されている。ご夫妻ともども、こうした視線の工夫を存分に楽しんでいる様子である。 もうひとつ、特筆すべきはインテリア。繊細にしてモダンな階段や手すりのデザイン、部分的に使い分けられた床の仕上げなど、すべて素材から丹念に選び、創り上げられたものだけに、空間と見事に調和。外観デザインとともに、Y様邸らしい個性的な雰囲気を醸し出している。
▲ダイニングからキッチンを見る。玄関ドアを開けるとキッチンまで見えるため、システムキッチンも家具感覚でセレクト
▲階段もインテリアの一部としてとらえ、何度も検討の末、手すりも含め色や素材を吟味
▲1階はリビングの吹き抜けを介して2階とも開放的につながる
▲2階廊下は西から東へと一直線にのび、ここでも奥行きの深さが実感できる
◀吹き抜けを取り巻く回廊風の2階廊下。正面はバルコニー。左右にも大きな窓があるので明るく、周囲の景色も楽しめる
| DATA |
|---|
| 敷地面積/230.00m2(69.57坪) |
| 1階床面積/65.57m2(19.83坪) |
| 2階床面積/53.88m2(16.29坪) |
| 延床面積/119.45m2(36.13坪) |
| 設計・施工/イワクラホーム(株) |
| URL:http://www.iwakura-home.co.jp/ |
| Vol.169 2007年9月号 |
(一社)日本ツーバイフォー建築協会会報誌「ツーバイフォー」転載記事
