一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会

ツーバイフォーとは

十勝の自然の中で豊かに暮らせる木の温もりに満ちた住まい

▲南側に配置された明るいLDK。吹抜けのリビングの南面を弓形に張り出させて連窓が設置されている。夏場は気温30℃超えの日が多い十勝だがエアコンは設置されていない。「高断熱のおかげで、シェードを下げたり風を入れたりするだけで充分涼しいです」とご主人。キッチン前のカウンターにはニレ材の1枚板が用いられている。

高い気密・断熱性で厳しい気候下でも一年中快適に

北海道東部・十勝地方のほぼ中央に位置する帯広は、夏と冬で最高60℃の気温差があり、一日の気温差は20℃を超えることもあります。その厳しい気候条件のもと、一年中、心地よく暮らすことができるI邸は、ツーバイフォー工法で建築された住まいです。各部材間にシーリングを徹底させて気密性を高め、2×6の壁に140ミリ厚の断熱材を施工、木製トリプルサッシやスウェーデン製木製断熱玄関ドアを採用するなど、極寒の冬にも適応する確実な性能が備えられています。

プランニングは、周囲に広がる豊かな自然景観、明るく優しい日差し、爽やかな風を住まいに取り込むため、南側に吹抜けのリビングを配置し、連窓を弓形に張り出させて外とのつながりを深める設計に。そのリビングはキッチンや階段室、さらに2階ホール、キャットウォークとも結ばれ一体化し、大きな空間構成になっています。キャットウォークは床梁の補強により軽やかな意匠が実現し、LDK全体の開放感を向上させています。設計者は「ツーバイフォー住宅の空間をデザインする場合、ボックス状の構造体の強度を保ちながら、いかに開口してつなげ、美しく見せるかをいつも考えています」と語りました。

▲十勝川河畔林の木立の緑を背景に建つI邸。切妻屋根とハーフティンバーが特徴。寒冷地に適応する防水性・耐候性・耐久性を備えた屋根材、加えて意匠性にも優れる外壁材が使用されている。

▲「キャンプが大好きで、家で炎のある暮らしを楽しみたい」と要望した薪ストーブはLDKに設置された。薪ストーブの熱は煙突や吹抜け伝いに2階へ循環し、家中を暖める。木の内装のアクセントとなっている手すりや鉄柱のブルーは、ご家族の好きな色。

▲吹抜けリビングの連窓から採光・通風・眺望を得ることができる。採光を妨げないデザインのキャットウォークにより冬場も観葉植物の緑を楽しめる。

▲LDKの無垢フローリングは北海道産のナラ材、壁・天井は珪藻土塗り、室内ドアにはパイン材が使われている。和室は床レベルを上げて収納スペースを設けている。

▲北海道産材のナラフローリングが足に優しい玄関ホール。正面の土間左手にシューズクロークがある。

▲木製フェンスとレンガによるアプローチ。玄関扉はスウェーデン製木製断熱ドア。

自然素材の風合いと意匠にこだわったカントリースタイル

「私も妻も道外出身者ですが、子どもたちの進学を考えて、仕事で移り住んだ帯広を第2の故郷にしようと決めました」とご主人。帯広に新居を構える計画を立てたご夫妻は、自然素材を使ったモデルハウスに心を奪われました。当時、Iさん一家は借家暮らし。「木材や窓を多く取り入れたデザインの戸建て住宅で、住み心地などすべて気に入っていました。その借家がモデルハウスの建築業者の社長さんが20年前に設計されたツーバイフォー住宅だったと知り、迷うことなく新居の家づくりをお願いしました」とご夫妻は振り返ります。

ご家族が希望された自然素材は、北海道産ナラ材やメイプル材の無垢フローリング、珪藻土塗りの壁・天井など内装材だけでなく、パイン材の室内ドア、ニレ材の一枚板カウンター、収納棚などの造り付け家具にも木材が随所に使われています。念願の薪ストーブはLDKに設置され、自然素材とともにカントリースタイルを表現する重要なインテリアエレメントになっています。

望みどおりの木の住まいが実現し、「どこへ出掛けても家に帰りたくなる」と、ご家族は新居の心地よさに満足されています。

▲2階ホールは吹抜けでリビングとつながる。奥の扉はご主人の書斎。

▲2階北側の主寝室。窓からは、四季折々にさまざまな表情を見せる河畔林を眺めることができる。

▲子供室3部屋は2階の東側に配置。フローリングはメイプル材、収納扉はパイン材。寝台ロフトは仕切りがないので行き来できる。

スタッフからのメッセージ

十勝の環境を存分に生かした住まいを提供


とかち工房(株)
代表取締役
後藤 薫氏

とかち工房の住宅事業は、日本の寒冷地のなかでも極寒の地といわれる十勝地方において、地元密着の地元業者型で展開しています。夏冬の寒暖差が約60℃という過酷な環境に対応したきめ細やかな設計を行い、高気密・高断熱・高耐久など高性能な住宅をつくることはもちろん、「長い冬を楽しむ」という暮らし方に焦点を置いた住まいの提案が必要だと考えています。

十勝地方の気候は、マイナス25℃まで気温が下がる寒冷地でありながら冬期間の日照時間が長いという特色を持っています。そこで、建物の南面に高断熱の窓(赤外線透過タイプ、アルゴンガス入り2重・3重ガラス使用の木製窓)を多く配置させ明るく開放的な空間の創出、家族が日常を快適・快活に過ごせるデザインの提供に努めています。これからも、熟練の大工が自然素材を使って丁寧に仕上げる手作りの温かみを大切にした家づくりを行っていきたいと思います。

DATA
敷地面積/422.70m2(127.87坪)
1F床面積/85.02m2(25.72坪)
2F床面積/74.67m2(22.59坪)
延床面積/159.69m2(48.31坪)
設計・施工/(株)とかち工房
Vol.230 2021年夏号

(一社)日本ツーバイフォー建築協会会報誌「ツーバイフォー」転載記事