一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会

ツーバイフォーとは

開放感とあたたかみを創出した大屋根の住まい

▲1階のLDKや2階のフリールームが吹抜けを介して立体的につながる。南側の擁壁を背景とした小さな庭をつくり、ピットリビングにして庭と目線を揃えている。

密集地にありながら設計の工夫で明るいLDK空間を実現

 南側に大きく軒が張り出した異勾配の三角屋根の白くモダンな外観が人目を引くK邸。いずれマイホームを建てようと土地を探していたKさん夫妻が市街地の中心部に理想の土地を見つけたのを機に、デザイン性に定評のある地元の住宅会社に依頼して実現した住まいです。耐震性や気密・断熱性に優れ、安心して暮らせるという点からツーバイフォー工法で建てることになりました。
 プランを検討するにあたり、Kさん夫妻が希望したのが明るく広いLDKでした。敷地形状は長方形で住宅密集地にあり、東側は駐車場、西側は隣家が面し、南側には擁壁がそびえる急斜面が迫ります。平面構成は、隣地との関係性に配慮して東西の開口部は最小限の大きさにし、北側にエントランス、南側にLDKを配置し、その先にプライベートな庭を設ける形に。リビング・ダイニングを勾配天井にして開放感を創出し、天窓を効果的に配置することで、明るい光が降り注ぐLDKを生み出しています。「ツーバイフォーの構造特性を活かし、高低差をつけた空間構成で広く感じられるようにしています。玄関軒で下げ、軒下で上げ、玄関扉を開けた先のホールの天井を上げ、廊下で天井を下げ、リビングで床を下げて天井を上げる……という構成です。和室も扉を下げ、室内であえて天井を上げています。リビングルームは床レベルを下げることで、窓から望む庭とひと続きに感じられるようになっており、敷地全体を住まいとして活用しました」と設計者は語ります。
 庭に面した南側の窓には造作ベンチを設けており、夜になると間接照明がLDK空間を温かく照らします。「家族全員が自然と集まるようになり、窓からの光や季節の移ろいを楽しんでいます。ダイニングテーブルを一体化させたオープンキッチンでは子どもが率先してお手伝いをしてくれるようになりました」と夫妻はやさしく微笑みます。

▲南北方向に大きく軒を張り出し、北側の軒下の日陰を通って玄関にアプローチする。

▲異勾配の屋根が目を引く外観。プライバシーに配慮し、隣地の駐車場側の開口部は極力小さくした。

◀︎南側のデッキは、窓際の造作ベンチの座面と同じ高さ。デッキで遊ぶ子どもたちの姿がリビングから眺められるようになっている。

密集地にありながら設計の工夫で明るいLDK空間を実現

 南側に大きく軒が張り出した異勾配の三角屋根の白くモダンな外観が人目を引くK邸。いずれマイホームを建てようと土地を探していたKさん夫妻が市街地の中心部に理想の土地を見つけたのを機に、デザイン性に定評のある地元の住宅会社に依頼して実現した住まいです。耐震性や気密・断熱性に優れ、安心して暮らせるという点からツーバイフォー工法で建てることになりました。
 プランを検討するにあたり、Kさん夫妻が希望したのが明るく広いLDKでした。敷地形状は長方形で住宅密集地にあり、東側は駐車場、西側は隣家が面し、南側には擁壁がそびえる急斜面が迫ります。平面構成は、隣地との関係性に配慮して東西の開口部は最小限の大きさにし、北側にエントランス、南側にLDKを配置し、その先にプライベートな庭を設ける形に。リビング・ダイニングを勾配天井にして開放感を創出し、天窓を効果的に配置することで、明るい光が降り注ぐLDKを生み出しています。「ツーバイフォーの構造特性を活かし、高低差をつけた空間構成で広く感じられるようにしています。玄関軒で下げ、軒下で上げ、玄関扉を開けた先のホールの天井を上げ、廊下で天井を下げ、リビングで床を下げて天井を上げる……という構成です。和室も扉を下げ、室内であえて天井を上げています。リビングルームは床レベルを下げることで、窓から望む庭とひと続きに感じられるようになっており、敷地全体を住まいとして活用しました」と設計者は語ります。
 庭に面した南側の窓には造作ベンチを設けており、夜になると間接照明がLDK空間を温かく照らします。「家族全員が自然と集まるようになり、窓からの光や季節の移ろいを楽しんでいます。ダイニングテーブルを一体化させたオープンキッチンでは子どもが率先してお手伝いをしてくれるようになりました」と夫妻はやさしく微笑みます。

▲2階のフリールームとも視覚的につながった吹抜け空間。玄関から続く廊下はモルタル仕上げ、LDKは挽板フローリング仕上げに。LDKは庭と目線を合わせるために廊下よりも十数cm床レベルを下げている。

▲天窓から降り注ぐ光で日中の明るさを確保。夜は、造作ベンチ内の間接照明が部屋を温かく照らす。

▲吹抜けに面する2階のフリールーム。勾配天井によるのびやかな空間で、将来、2つの小部屋に分けられるようなつくりとなっている。

ZEH基準の環境性能によりエアコン1台で快適に過ごせる

 2階には小屋空間を活用した収納のほか、リビング・ダイニングの吹抜け空間とつながるフリールームを設けました。フリールームは、将来2つの小部屋に分けることを想定したつくりになっています。
 K邸の内装は白を基調として明るさと清潔感を演出。床材は、玄関から続く廊下は白く塗装したモルタル仕上げ、リビングは挽板フローリング仕上げというように、質感の異なる素材を組み合わせて、メリハリをつけました。
 担当した住宅会社では、全住宅が耐震等級3になるように設計しており、さらに断熱性能もZEH基準の等級5に高めるなど、高水準の住宅性能を確保しています。Kさん夫妻も「以前住んでいた集合住宅に比べて断熱性が高く、エアコン1台でこんなに効率的に室温が保てることに驚きました。電気代も想像以上に抑えられていて、四季を通じて快適に過ごせています」とその性能の高さを実感しています。
 「毎朝、庭の景色を愛でながら食事をとることが楽しみの一つです」と語るKさん夫妻。マイホームで過ごす時間が日々の暮らしに彩りを与えているようです。

▲和室は扉部分で高さを抑え、室内は勾配天井で高さのある立体的な空間に。

▲家事や作業ができるように十分なスペースを確保した洗面脱衣室。生活感を抑えたシンプルで無機質な内装に統一されている。

▲軒下のアプローチ空間。外壁や屋根は熱を吸収しにくい白色が選定された。

▲2階フリールームから見たLDK空間。造作ベンチが外のデッキとLDK空間を緩やかにつないでいる。

▲玄関を入ると左に階段があり、右奥には明るいLDK空間が見える。極力凹凸を抑えたディテールが整然とした印象を高めている。

▲階段の吹抜け空間を天窓の光が明るく照らす。

スタッフからのメッセージ

施主の想いに応える唯一無二の住宅を設計


FDM(株)
建築設計部
設計一課 課長
釘宮 直也さん

K邸は、古い住宅街の一角に佇む、4人家族の住まいです。南側斜面の住宅密集地という条件のなか、“開放感とあたたかみのある住まい”をコンセプトに計画がスタートしました。高低差をつけた空間構成、異素材の組み合わせなど、敷地や建材等の個々の特性を最大限活かしたプランはK様のご要望を叶えた“唯一無二の家”として完成したのではないかと思います。
私たちは全住宅に許容応力度計算による構造計算を行っており、震度 7の地震が来ても安全・安心な住宅を設計しています。さらに全住宅がZEHに適合していることも特長です。自然のエネルギーを活用するパッシブデザインを基に設計した住宅は、人と環境に優しい資産価値の高い住まいとして喜ばれています。
 そして、住宅を通してじっくりと、そこに関わる人たちの手で食、音楽、デザイン、映像、文化を育む――住むためのものとしてだけでなく、10年、20年先、建築が社会のなかでどのように生きるかを考えた家づくりを行っています。

DATA
大分県 K邸 2023年竣工
延床面積 105.80m2
設計・施工/FDM(株)
Vol.247 2025年夏号

(一社)日本ツーバイフォー建築協会会報誌「ツーバイフォー」転載記事