ツーバイフォーとは
木と藍染を融合させた住まい
▲平屋と2階建ての建屋、ゲートのようなガレージが前後に重なり合うファサード。昼景と夜景それぞれに異なる表情を見せる。ガレージと平屋部分は屋根にI 型ジョイストを使用している。
徳島市中心部に位置し、倉庫群の再開発により新たに活気づく水辺エリア。コンポーネント会社を経営するKさんは、会社に近いこの地に第二の新居を計画しました。「若い頃に建てた家も気に入っていたのですが、老朽化して修繕するにも限界があり、思いきって新築することにしました。今だからこその家を建てられるのではないかという愉しみもありました」と振り返ります。
約40年前に原木輸入でアメリカを訪れたときにツーバイフォーに出会い、コンポーネント事業を始めたKさん。「生産・建設工程が合理的で、かつ年数を経ても建物の快適さが保たれていることに感銘を受けました」と話されるように新居はツーバイフォー工法で建てることを選択。そして、これまでの知見を活かし、設計も自ら手がけました。
▲建物内に取り込まれた玄関ポーチ。扉にはドイツ製の高断熱仕様の玄関ドアを採用。
▲框はリビング方向に斜めに切られている。
Kさんが新居に求めたことは、「性能、普遍性と使い勝手、そして、突然の来客にも対応しやすい空間」でした。
K邸の玄関は吹抜けで、入るとすぐ応接スペースを兼ねたリビングが広がります。「アメリカでは玄関の先に居間という家が多い。廊下を省くことで、面積を合理的に活用できますね。ツーバイフォーにして窓や玄関ドアに高断熱の建具を用いることで家全体が快適になり、仕切らなくてもよくなるんです」とKさん。その一方で、中庭のテラス横に回廊のような廊下を設け、家族のプライベートルームをゆったり配置しているのも特徴的です。階段は書斎兼トレーニングルームと建物奥の2か所に設置。個室の独立性を高めて生活時間帯がずれてもお互い気兼ねせず、ライフステージが変わったときにも柔軟に使える利点があります。
▲玄関を入ると、木質感あふれるリビングに出迎えられる。ゆるやかな傾斜天井と板壁、温かな色合いの照明に癒やされるこの空間には、Kさんこだわりのオーディオシステムが搭載されている。
木を多用しながら、クールで洗練された趣が印象的なK邸のインテリア。そのポイントは、徳島の地域資源である藍染を木材に活用したジャパンブルーの建材です。樹種によって入る藍の深さが変わり、さらに板一枚ごとに違う木目をもつため、吹抜けの意匠に用いたり、フローリング全面に敷いたり、板間の目地にと多様な空間が演出されています。「面白そうな家になる予感はしましたが、まさにふたつとない空間ができました」と奥様は微笑まれます。
自宅だけに、Kさんが半分実験的に導入したのが北米の住宅並みの断熱強化です。「徳島は寒冷地ではないが、本気でエネルギー対策を考えるならこれぐらいは必要」と語るように、屋根はセルロースファイバーとボード系の断熱材を入れて通気二重構造としました。また、外壁だけではなく内壁と1階の天井裏も防音を兼ねてセルロースファイバーを充填しました。基礎にも断熱を施し、シロアリ対策では基礎コンクリートをフィンのような形状にして蟻道を塞ぎ、1階の設備室から各部屋と床下に空気を送るつくりに。これにより、家全体のエアコンは2台で充分で、防音効果も得られました。「見えない部分だからこそ、最初にひと手間かけることで建物の価値が保たれます」とKさんは笑顔で語ります。
▲ダイニング。天井はリビングと同じ仕上げだが、壁と床にメイプル材を用い、ワントーン明るい印象の空間とした。椅子やカーテンも藍色でコーディネート。
▲シャンデリアを吊った折上げ天井。藍染のメイプル材を意匠に使用。
▲書斎兼トレーニングルーム。吹抜けのルーバーと窓枠などの造作材は藍染のメイプル材。寝室へと至る階段は蹴込み板のない軽やかなデザイン。
▲ダイニングとオープンになったキッチンはモノトーンでシックな趣。下がり天井は藍の染料を混ぜた漆喰仕上げ。
▲キッチンカウンター。調理しながら廊下やテラスの様子もうかがえる。
▲ダイニングや個室とつながるテラス。デッキのアコヤ材窓はトリプルガラスを使用。
▲ダイニング横に配置された洗面スペース。この手前にパントリーがある。
▲2室の設備室にエアコンを設置し、送風機で各部屋と床下に空気を送っている。
▲下階の書斎兼トレーニングルームと吹抜けでつながる寝室。
◀︎壁面に本棚を造りつけた階段は読書スペースを兼ねる。
| DATA |
|---|
| 徳島県 K邸 2023年竣工 |
| 延床面積250.3m2 |
| 設計・施工/(株)ダイリFPC |
| Vol.248 2026年新春号 |
(一社)日本ツーバイフォー建築協会会報誌「ツーバイフォー」転載記事
