ツーバイフォーとは
十勝の大地を継いだ若きファーマー夫妻が建てたツーバイフォーの家
▲南側の外観。シンプルなデザインで周りに遮るものがないため、田園風景がパノラマで室内へ。外壁は汚れに強いサイディング。敷地内の倉庫や実家へのアクセスを考えて2つの玄関の位置を決定した。
日本有数の畑作地帯である十勝平野の更別村で、奥様のご実家が3代にわたり営んできた農業を継いだFさん夫妻はお子さんの誕生を前に、実家の敷地内に新居を計画しました。奥様が建築士という夫妻が依頼先に選んだのは、1976年に十勝でツーバイフォー工法第1号の住宅を完成させて以来、地域の気候風土に適応し、災害に強い注文住宅や農家住宅*の建築で実績のある住宅会社でした。
新居のハイライトといえる空間が、家の中央に据えられたオープンLDKです。17.6帖のリビングは吹抜けになっており、南側の2層の大きな窓により大空間が明るく照らされ、また、正面に広がる田園風景を見渡せるようになっています。窓際には蹴込み板のないシースルー階段が設けられ、採光性と視界を確保するとともに、空間デザインのポイントとなっています。リビング横の和室は客間としても使えますが、今はお昼寝をするお子さんを見守れるように引き戸を開け放しています。個室を設けた2階も吹抜けに面して14帖のホールや寝室を配置し、家全体に一体感をもたせた設計となっています。
夏と冬の寒暖差が60度以上にもなり、一日の気温差が20度を超えることもある十勝地方では住宅の基本性能が住み心地に直結します。F邸では2×6材を用いた気密・断熱性の高いツーバイフォー工法を基本に、基礎断熱やLow-Eトリプル複層ガラスの採用によりZEH基準を上まわる断熱性能が備えられています。「空間も窓面も大きいため、夏の暑さが心配だったのですが、実際に住むと、夏場は2階のエアコンを1台つけるだけで充分涼しかったです」とご主人。「冬は日差しがたっぷり入るのと、床暖房の暖かさが空間全体に広がり、冷え性だったのを忘れるぐらいでした」と奥様も笑顔で語ります。
▲家族の笑い声が広がる吹抜けのリビング・ダイニング。大きな窓で十勝平野の眺めを取り込み、雨や雪の日も天空光で明るく心地よい。右手は和室。
▲吹抜けのシースルー階段は抜け感があるため視覚的に邪魔にならない。LDKをオープンな空間にしたいというFさんの希望から担当者が提案した。
▲2階フリースペースとホールは開放感のある空間。セカンドリビングや書斎など将来いろいろな使い方ができる。
F邸では家族がくつろぐLDKや居室とは別に、農家の住まいならではの工夫が盛り込まれました。北側には農作業専用の「裏玄関」があります。8.8㎡と大きめの土間には洗濯機やシンクが設置され、畑仕事の前後の身支度や洗濯、下作業の場となっています。裏玄関から洗面室・ランドリールーム・浴室は直線上に配置され、ご主人が仕事終わりにリフレッシュしてからLDKに入る動線が確保されています。「土間は収穫した泥付きの野菜を置いたり、荷物を仮置きするのにも便利なので、広くしてよかったです」と奥様。キッチンの先には、パントリーが配置され、外気を利用した保冷庫があります。
また、農作業ができない冬季にも身体を鍛えたいと、ご主人はトレーニングルームを要望。「担当の方がトレーニングルームを自宅におもちで知識が豊富だったので、その仕様を参考にしました」とご主人。コンクリートの床の上に衝撃吸収性の高いマットを敷き、落ち着いた内装と照明で集中できる空間としました。奥様の趣味スペースは、ダイニングの一画にテーブルと高さを合わせた壁付きのカウンター。ここでミシンをかけたり、ハンドメイドの時間を楽しまれるそうです。
▲ダイニングルームの一画にはテーブルと高さを合わせたカウンター。壁はメモやプリントなどを貼れる木目調のマグネットボードとなっている。
▲ダイニング横のキッチン。畑仕事の合間に食事をさっと済ませて戻れる動線を確保。土地柄、買い置きが多くなるため、キッチン奥のパントリーは収納をしっかりと確保。
▲ご主人のトレーニングルーム。バーベルを落としても床が抜けないように、コンクリートの上に衝撃吸収性のあるマットを敷いている。
▲土間を広くとった裏玄関。シンクや汚れ物用の洗濯機、ロッカーを置いてもまだゆとりがある。収穫した野菜を置いたり、洗濯した作業着を干したりと、大活躍している。
▲2階子供室。都市部から離れた農村地域では高校進学で家を出ることが多いため、中学生まで使用する前提で広さや部屋数を決めたという。
▲和室はリビングと対照的に落ち着いた空間に。
▲ランドリールームを兼ね、収納が充実した脱衣室。
◀︎農作業後、裏玄関から帰宅し、そのまま洗面・浴室でリフレッシュできる独立動線が確保されている。
時代がツーバイフォー住宅を求めている

(株)赤坂建設
帯広事務所 所長
高山 辰也さん
ツーバイフォー住宅の特性として、地震と火災に強いことがあります。今はいつ大きな地震が起きてもまったくおかしくない時代ですし、現在、火災保険料がどんどん上昇し、加入できる期間が短くなっていくなかで、ツーバイフォー住宅は火災に強いことから一般木造住宅の約半額で火災保険に加入することができます*。また、省エネ時代が進むなかで、断熱・気密性に優れていることから光熱費の負担軽減につながりやすく、住宅の出来も職人の腕の差による品質のばらつきが出にくいのも特徴です。こうした特性が、建築をよくご存じだったF様がツーバイフォー住宅をマイホームに選ばれた背景にあるのではないかと思います。ツーバイフォー住宅だから安心して暮らしていただいているのだと私も感じております。これからもお客様が真から求める家をご提供するため、ツーバイフォー住宅を創り続け、多くの人を幸せにしていきたいと思っています。
| DATA |
|---|
| 北海道F邸 2025年竣工 |
| 延床面積192.47m2 |
| 設計・施工/(株)赤坂建設 |
| Vol.250 2026年夏号 |
(一社)日本ツーバイフォー建築協会会報誌「ツーバイフォー」転載記事
写真提供:住宅会社選びWebサイト「iezoom(北海道住宅新聞社)」
